台風、そして地震

札幌に来て40年余になりますが、今回の地震が一番揺れたような気がします。
平成5年の奥尻地震のときも揺れたのですが、今回の方が強かったように思います。
それに、余震が多くて、最初の大きな揺れの後、1~2時間に1回、ガタッと揺れるのです。 小さな地震が来るたびに、震度7程度の揺れの可能性があるなどとラジオがいうので、その度に心配が増すのです。
さらに、停電になったこと。 停電になった当初は、2~3時間で回復するとそれほど心配はしてなかったのですが、ラジオは 全道の全戸の回復には1週間以上かかりそうだと言っているので、懐中電灯の灯りで、テレビもパソコンもない不安な夜を何日も過ごすのかと考えると、うんざりするというか気分が滅入ってしまいました。

私の住んでいる南区は、清田区や東区と違って地震の被害はほとんど無かった?のですが、電気が長時間使えなくなるだろうから、水道も止まるのではないか?という連絡を受け、我家も浴槽に水を溜めたり、料理用の大きなボールや鍋に溜め置きしました。 また、電気が回復したときに発生する通電火災(地震で倒れた家具が電気コードを傷つけ、通電時そこがショートし火花が出る)が起こる可能性があるというので、物が落ちたり家具が倒れることはなかったのですが、とりあえずブレー カーを落としました。 防災訓練で非常食(お湯を入れるだけでご飯ができる)を二つもらっていました。 炊飯器が使えないので、これは重宝しました。 ろうそくがなかったので、近くのコンビニに行ったのですが、店員さんは電卓で計算してからの支払いとなるため、カウンターは長蛇の列で、あきらめてすぐ帰ってきました。

我家には手回しで発電するラジオ(懐中電灯にもなる)があり、しかも、携帯電話の充電できる接続箇所があるのですが、古いというか、手元にある携帯電話と接続できないものでした。 今回のような災害 が起こると、知り合いからたびたび携帯電話がかかってくるので、相手と会話中でもバッテリーが心配になってきます。 携帯電話を充電できる手回しラジオは災害時には必携のようです。

なんやかんやあった1日でしたが、幸いにもその夜の7時ごろ、日が沈んで世の中が真っ暗になったとき、街路灯が点灯しました。 滅入っていた気分がさぁーと抜けました。 電気のありがたさを実感しました。 早速、テレビをつけて地震情報を見ました。 電話で凄いことになっているとは聞いていたのですが、テレビで見るとやはり凄いことになっていました。
幾重にも続く山々に土砂が流出して赤茶けた三角状の山肌とその上部を被さるように樹林の緑が拡がる様は、今までに見たこともない凄まじいもので、「こんなことも起こるのだ」とテレビに見入りました。 その映像を見ていると、被害にあわれた方や地元の方には失礼な表現で、申し訳ない思いなのですが、それが世界遺産で見る特異な景観、自然が作り出したある種の規則的な美しさ、なかなか見ることの出来ない光景だと感じてしまいました。

地震の前日、北海道を台風が通過しました。 台風21号です。 ここ何年もなかった強風と大雨です。 気象庁のデータによると、厚真町で120mmの雨が降っています。 西日本では大した雨の量ではないのですが、北海道では年間降水量が1,000mmくらいなので(厚真の過去30年間の年間平均降水量:1,014mm)、1日で1年間の1割強の雨が降ったことになります。
また、最大瞬間風速は34.3mを記録しています。 この風速は、林に生えている樹木にとってめったに経験の出来ない強風であっただろうと推測します。

樹木は強風にあおられ、幹枝葉は大揺れに揺れます。 それと比例して根も揺れます。 揺れると土壌と根の間に隙間ができます。 そこに雨が入り込みます。 おそらく、風の伴わない通常の大雨に比べて、より多くの水分が土壌の中に存在したのではないでしょうか? そこに瞬間風速34.3mの猛風です。 根が張っている部分、地下100cmくらいまでの土壌は、極端な言い方をすれば、だぶだぶの状態 になっていたのではないでしょうか?
もともと土砂崩れの起きやすい土質にこれらの気象条件が重なり、さらに震度7の地震が決定打となって、今までに見たこともないような現象(災害)が起こったように思います。