アサダ  幼木の樹肌

アサダは札幌周辺のt山々に生えている樹木です。 身近なところでは、円山公園の正面入り口を入って30m程歩くと石積で囲った円形の植込みがあり、その中央に高さ20m弱の大きなアサダの樹があります。
2018.5.20
⇒ アサダ  円山公園

話は円山公園のアサダではなく、豊平公園のアサダです。
私は豊平公園内にある緑のセンターで緑の相談員をしているのですが、当公園を管理している担当の方から、
「アサダの樹のすぐ横に、アサダの葉と思われる樹があって、しかし、その樹肌を見ると、アサダと全く異なるものなので、ょっと見てほしい」というのです。
それが下の写真です。
2024.8.4
幹径30~40cmのアサダ本体横に直径cm7~8cmの幼木が並び立っています。 その樹肌を見るとハシドイそっくりなのです。

2024.8.4     アサダ                                       2015.2.17 ハジドイ

しかし、その樹の葉を見て触ると、アサダの葉は表面に細かい毛が密生していて、手で触ると独特のふわっとする感触があるので直感的に判るのですが、その幼木の葉を触ると、やはり、アサダの葉なのです。

⇒ アサダ  樹皮・樹肌

この状況に少々戸惑ったのですが、幼木の根元付近の樹肌を見ると、樹皮が割れて肌が荒れてきています。

2024.8.4
おそらく、この幼木も成長して幹が太くなれば、樹皮が割れてきて最終的にはアサダ特有のささくれだった荒れた肌の樹幹になるのでしょう。
この幼木は本体のアサダの根から萌芽したもののようです。
樹木では、幼木と成木では樹肌が異なるもの多いです。 幼木は早い成長に即した滑らかで柔軟な肌をしていますが、成木は幹が太くなるにつれ樹皮の表面積が拡大して、それに耐え切れず、樹肌は割れてくるのです。マツの樹皮は亀の甲羅のような形などいろんな形状で剥がれます。 プラタナスの樹肌はまだら模様で、数年?に一度の間隔で剥がれます。
044 プラタナス2012.7.28
茶色の樹皮が白い幹から浮いています。 この樹皮が剥がれ落ちると、プラタナスの樹皮は真っ白になります。

樹皮は樹木が成長している間は剥がれ続けます。
それでは、この剥がれる樹皮はいったい何者なのでしょうか?

樹木は形成層を挟んで内側に木部(根から水分や栄養を運ぶ細胞の管)があり、毎年年輪をつくって太っていき、木材になる部分です。 外側にある師管は、葉で作られたデンプンを幹や根に運ぶ細胞の管です。
用語集-樹木・水流

上図では、内樹皮が師管に当たる部分
国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構の根拠情報より

そうなんです。 樹木は毎年太っていくので、外側に形成される師管は少しづつ外に押し出されて、その成長に耐えきれず割れて剥がれ落ちていくのです。

それにしても、モミジやツリバナなどの樹木は成木になっても樹肌は滑らかです。 これらはどのように樹皮を更新しているのでしょうかね?

 

 

 

 

 

アサダ  円山公園

2020.3.7
写真は先々月の2月12日にウメと一緒に採取してきたアサダの小枝。細長く垂れさがっているのが雄花、膨らみ始めている冬芽が雌花(おそらく)。
ウメの枝は採取・水挿ししてから1週間で花が咲いたのですが、このアサダは展葉はするのですが、1ヵ月近く経っても開花しません。 開花を助けようと水に砂糖(ほんの少し)を入れて養分補給をしたのですが効果は現れず、葉先が黒くなって萎れてしまいました。 水挿しの時期が早いのか?と思って、再度、3月22日に枝を採取してきて水挿しを試みました。 結果は2月12日の同じでした。
サクラやウメなどの冬芽(花芽)の中は花と花梗だけなので、花を咲かせるための養分は少しで済むのですが、アサダの冬芽は展葉して茎が少し伸びてから花をつけるので、細枝の水挿しでは開花させるための養分は足りないようです。 このタイプの冬芽(花芽)は冬季に水刺しで開花させるのは無理なようです。

 2018.12.03
地下鉄円山公園駅を降りて西側に少し歩くと円山公園の正面入口にぶつかります。 その正面にアサダの大木が2本立っています。 大きさは、高さが20m近く?、もっと?、葉張りもそれくらいある堂々たる大木です。 写真は公園南側から撮影。 2018.5.20
公園正面入り口から撮影。 新緑が美しい。 2018.5.20
樹冠内部。
2013.6.8
平岸通に面する澄川墓地(豊平区と南区の区界)。 手前がアサダ、後方がコナラ。 2015.5.6
アサダの開花。 垂れさがっている穂は雄花。
アサダはカバノキ科で、シラカバ、ケヤマハンノキ、ハシバミ等と同じ仲間で、雄花は細長く伸びる雄花序を持つ。 2013.8.13
アサダの果実。 小さな袋状のもの(果苞)が重なり合っているのが果穂。
その一つ一つの果苞にタネが入っている。

アサダは札幌近辺の山々で普通に見られる落葉樹。
アサダ ⇒ アサダ  樹皮・樹肌

 

 

 

アサダ  樹皮・樹肌


幹径:13cm       幹径:70~80cm   幹径:70~80cm

細長い樹皮片が短冊状にめくれて、一目で樹種はアサダと判別できます。 写真ではアサダの樹皮の特徴はわかりづらいですが、実際に見ると、その違いが実感できます。 しかし、樹皮片のめくれが少ないものもあり、個体差があるようです。

<余談>
樹皮は灰褐色から濃い褐色でやや浅い縦の裂け目があり、それが下端から少しはがれてもちあがり、独特のぼさぼさした外観を呈する。 方言にハネカワ、ミノカブリというのがあるのはこれから来ている。(木の大百科)

アサダはカバノキ科で、シラカバなどのカンバ類、ハンノキ類、サワシバなどと同じ仲間です。雄花が細長く垂れさがる(雄花序)のが特徴です。

 

 

 

アサダ(冬芽)

040 アサダ20112.11.24
上下の写真ともにアサダの冬芽です。が、何か種類が違うように見えます。写真を撮ったのは葉のない冬ですが、夏にこの場所でアサダを確認していることと、冬場はアサダの特徴的な樹肌(浅く縦に裂け薄片が反り返って樹肌が荒々しく見える)で見分けがつくので間違いない?と思うのですが、それでも、この二つの冬芽は別種に見えます。違いは写真を撮った時期です。上は11月下旬、下は1月上旬。アサダの芽は、厳寒期でも少しづつふくらんでいくのでしょうか?
冬芽は、二列互生し、開出して、楕円形ないし卵形で、先は鈍く、長さ2~5mmあり、暗褐色ないし赤褐色をし、ほぼ無毛で、3~5対の芽鱗に覆瓦状につつまれる。(落葉広葉樹図譜)
RIMG0014 アサダ2013.1.6
026 アサダ 樹肌2011.1.29
樹肌 ささくれ立つというか、一見ざらざらした感じが特徴です。
035 アサダ2013.3.17
森林総合研究所 樹高約10m。これとよく似た樹形のアサダが十五島公園にもあります。独立樹ではこのような樹形になりやすいのでしょうか。
009 アサダ 円山公園2013.3.24
円山公園
地下鉄円山公園駅から大通をまっすぐ歩いて、円山公園入り口にあるアサダです。 樹高は15m以上?、幹径70~80cmはあるなかなかりっぱで、重量感のあるアサダです。
009 アサダ2013.4.21
円山公園
052 アサダ2011.3.20
真駒内公園

アサダ  樹皮・樹肌
アサダ  円山公園

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