イチョウ(その3) ギンナンの異臭

1-009 イチョウ 西5丁目線
2012.11.20 西5丁目線
11月中下旬の銀杏(ギンナン)が落ちる時期に公園を歩くと、銀杏を拾い集める年配の方を見かけます。雌株の樹冠下には銀杏が一個一個重なるぐらいたくさん落ちていて、頭上を見上げると枝には橙色の銀杏が鈴なりに生っています。
銀杏は、茶わん蒸しに入れるなどいろいろな調理方法がありますが、簡単に炒って食べるのが一番おいしいようです。ビールのつまみにすると最高です。あまり食べすぎると中毒を起こすそうですが、私は30~40個くらい食べても全く平気です。しかし、毎日食べるときは20個程度に抑えています。その銀杏は固い種子の外側に橙色の果肉を付けます。この果肉を取らないとおいしく頂けないのですが、手で潰そうものなら大変です。臭くて臭くて。石鹸でしっかり手を洗わないとなかなかその匂いが取れません。それくらい臭いです。
1-003 イチョウ ドボクセンター
2011.11.18
その臭い実をつけるイチョウが街路樹として札幌市内全域に植えられています。道庁前や北大のイチョウ並木の下を歩くと、歩道に落ちた銀杏の果肉が押しつぶされたときに出るあの特有の臭いが鼻に入ってきます。しかし、臭いことには変わりはないのですが鼻を抑えるほどではありません。北大や道庁前のイチョウ並木ほどではないのですが、札幌中心部の街路樹のイチョウには幹径30㎝を超えるものも多く、目通り幹径が50㎝前後になる樹もあります。樹齢は実を付ける30年前後は優に超えており、古い樹では90年を超える樹もあるようです。しかし、市内に実をつけそうなイチョウの街路樹が結構あるにもかかわらず、ギンナンの悪臭の苦情をあまり聞きません。大きなイチョウの街路樹が多い札幌市中央区土木センターで街路樹の管理を長年携わった方に話を聞いても、苦情はあったがそれも1~2件で無いに等しいということのようです。
1-011 イチョウ 北大
2011.11.24
街路樹のイチョウに実を成らせないために、雄株だけを植えている等の話を聞いたことがありまが、樹木生産者に真偽を尋ねると、ギンナンの生産者は接木苗(豊産性の品種)を使うが、街路樹のイチョウは実生で育てたものがほとんどだと言う話です。確かに、市内の街路樹イチョウを観察しても接木苗の証拠である地際に残る接木跡がありません。それではさし木苗を使っているのでしょうか? 生産者に再度確認するとやっぱり実生苗とのことです。
大阪市御堂筋のイチョウは有名です。毎年秋になると「銀杏落とし」がおこなれわれるそうです。その理由は道路沿いの商店街等からの苦情だそうです。ウェブサイトで、イチョウの樹の下でギンナンを集める市民の姿や、傘を逆さにしてその中に橙色の銀杏が一杯入っている写真を見ると、この「銀杏落とし」は御堂筋の恒例の行事になっているようです。しかし、大阪市はギンナン(悪臭)の苦情が多いため、順次雌株を雄株に切換えているとのことです。「銀杏落とし」は恒例の人気行事になっても、ギンナンの臭さは相変わらずで、地先住民にとっては「邪魔者」であることには変わりはないようです。
1-010 イチョウ 西5丁目線
2012.11.20 西5丁目線
札幌市にも都心部にイチョウの街路樹は多くあります。札幌駅前を東西に走る北5条線、道庁前から東に向かって走る北3条線、また南北に走る西3丁目線、国道では石山通など多くの道路でイチョウが植えられています。その札幌市でイチョウの苦情(ギンナンの悪臭)が少ないのは、①枝葉を広げる空間が限られていて、②3~5年に一度剪定を行う。③無剪定の樹がほとんどない。このことが街路樹にあまり実を付けない理由のようです。もう一つ、④ギンナンの落ちる時期が11月中下旬から12月にかけてで、その時期は札幌の平均気温もグッと低くなり、寒さのために腐敗も進まず?、そのうちに雪の下になってしまうことも、臭いの苦情を少なくしている大きな要因のようです。それでも、北大のイチョウ並木(無剪定)のような街路樹が駅前通にあったら、たとえ札幌の冬の気候でも地先住民や商店主から苦情が出ることは避けられないのではないでしょうか?


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イチョウ(その2) 黄葉

今日の札幌の最高気温は9℃前後です。来週からは5~6℃になると天気予報は言っています。郊外ではこれから明け方はマイナスの気温です。今年は少し遅めですが、秋から冬にスイッチが切り替わりました。
今年の紅葉も終わりに近づきました。最後はイチョウです。
1-011(赤字)
中島公園(中央区)
1-001 イチョウ 真駒内川沿い(赤字)
北海道警察学校横の街路樹(南区)
1-088 イチョウ 北2西112011.11.3
北2条西11丁目 市立中央幼稚園南側
1-009 イチョウ 西5丁目線(赤字)
西5丁目線(大通公園4丁目側から)

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イチョウの花を見たことがありますか?


追記:6月24日
105 イチョウ2012.6.24
5月13日に写真を撮ってから約1ヶ月半経ちました。イチョウの胚珠もだいぶ大きくなってきました。一つの粒の大きさは7~8mmでしょうか。胚珠が二つではなく一つのもののほうが多いようです。
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092 イチョウ2012.5.13
イチョウの小さな新葉が5枚開いています。その中心に緑色の小さな粒を2つ付けた形状のものが3本あります。それが雌花です。新葉が展開すると同時に雌花もでてくるようです。
最初、これを見たとき、花柄の先に小さな粒が2個付いているだけで、花弁はありません。これが花なの? もしかして、この粒から小さな葉が開いててきて、雌花ではないのではないかと疑いました。
調べてみました。
この小さなつぶは胚珠なのです。胚珠とは、将来種子になる部分です。裸子植物では雌しべは子房をつくらないので、胚珠はむき出しなるのです。はっはぁーん。そうです。裸子植物と被子植物の違いを中学生の理科で習いました。これなんですね。実際に見て、初めて実感しました。「百聞は一見に如かず」とは、このことです。
イチョウは雌雄異株なので、雄花も当然あるのですが、雌花を撮り収めて安心したのか、雄花を撮り忘れました。それで、いつものようにグーグル画像から引っ張ってきました。形状はカバノキ科の雄花と似ています。
イチョウ 雄花
おもしろいのは、胚珠に花粉が付いてから種子が出来るまでの一連のできごとです。
小さな2つの粒(雌花)の先はネバネバしていて、花粉はそこに付着します。被子植物では、柱頭に付着した花粉は花粉管を伸ばして、精核が卵細胞に到着し、受精が起きます(この部分は、理科か生物の教科書で、チューリップの花の断面を見ているのでイメージできます)。イチョウの場合、胚珠(小さな2つの粒)に取り込まれた花粉は、胚珠の上部にある花粉室の中で4ヶ月間、そのままの状態でいます。その間に、花粉を閉じ込めた胚珠は直径約2cmほどの種子に成長します(ギンナンです)。花粉室の花粉は、2個の精子をつくり、10月初め、精子が花粉室の液体の中を泳いで、造卵器に入り受精が起きます。それにしても、精子が液体の中を泳いで受精するとは驚きです。
イチョウの精子が発見されるまで、花の咲く植物の受精は全て、運動性のない精核の移動によっておこると考えられていました。この精子の発見は、明治時代、日本人の植物学者平瀬作五郎によるものです。
005 イチョウ2011.5.15

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