ニセアカシア:いまごろ(11月下旬)のニセアカシア

南郷通のニセアカシアです。札幌の明るくてさわやかな6月に白い花を咲かせたニセアカシアも5ヶ月を経るとすっかり様相を変えてしまいます。
1-RIMG0072.jpg2012.11.25
中央分離帯のアカシアは、紅葉のしそこないの葉と実鞘で樹冠全体が茶色っぽく見えます。
1-RIMG0073.jpg2012.11.25
歩道にあるニセアカシアは、色あせたような、くすんだような緑色をした葉をつけています。
街中の街路樹を見ていますと、毎年剪定される樹であろうと数年に一度剪定される樹あろうと、その年に剪定された街路路樹は、剪定されない樹に比べて葉を落とすのが遅いように思います。剪定というストレスが樹木の生理を狂わせるのか、それとも、剪定されなければ光合成が十分できたのに、たまたま成長の盛んな夏場に突然剪定されて本来の光合成ができなかったために、それを取り戻そうと秋遅くまで頑張ろうとしているのか、その辺りのことはわかりませんが、剪定された街路樹は、遅くまで葉をつけているようです。それがよくわかるのが、このニセアカシアです。
1-001 ニセアカシア2012.11.25
これは、自宅近くにあるニセアカシアです。都心部から10km以上はなれた南区の郊外では、この時期の明け方の気温はマイナスになります、3~4日前の寒さで葉が凍結したようです。1~2日もすれば、葉は緑色をしたまま葉柄基部から垂れ下がり、まもなく降ってくる雪の重みで落ちてしまいます。シダレヤナギやリンゴなどの外来種でよく見られます。北海道に自生する樹木は、早めに冬支度を済ませて10月末にはほとんど落葉してしまい、このような情けない姿は見せません。都心部の街路樹ニセアカシアの多くは、まだ色あせた緑色の葉をつけているとおもいます。
1-002 ニセアカシア2012.11.25
ニセアカシアは、成長が早く丈夫だということで、昭和40~50年代に街路樹として最もよく植えられた樹種です。しかし、街路樹として大きくなると、強風に弱く倒れやすいとか、枝に棘があって危険であるとか、いろいろと欠点が見えてきて、現在では、ほとんど植えられなくなっています。
そのような意味での欠点ではないのですが、紅葉が最盛期を迎える10月末頃には、北国に住む人の心と体は冬を迎える準備ができています。周りの樹々は潔く葉を落としてしまいます。それなのに、このニセアカシアは、いつまでも色あせた緑色の葉をつけています。きれいな緑のままでいてくれればいいのですが、色あせた葉をいつまでもつけています。人々の気持ちや周りの樹木とニセアカシアには季節感にずれがあるようです。このことがこのニセアカシアの欠点になっていると思うのですが、いかがでしょう?少し思い込みすぎでしょうか?

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ニセアカシア:黄葉でない黄葉


中島公園の園路沿いに植栽されているニセアカシアです。手前に見える針葉樹はプンゲンストウヒで、ニセアカシアの下に赤く紅葉している樹はベニシダレです。
ニセアカシアは外来種のこともあって、エゾヤマザクラやハルニレなど北海道に自生している樹木に比べると落葉時期はぐっと遅く、札幌の中心部では11月中旬以降で、遅いものでは12月に入ってから落葉する樹もあります。そして、マメ科植物は根に窒素を固定する根粒菌を持っているために、落葉時に葉から窒素を樹体に引き上げる必要度が小さいためか、落葉(おちば)の色はくすんだ、色あせた緑色をしています。
そのために、周りの樹木が北国の長い冬に備えてほとんど葉っぱ落とす時期に、「なんで、いつまでもくすんだ色の葉っぱつけているの?」という気持ちを抱かせる樹木です。
1-018.jpg
緑葉の高木が並んで植えられています。中央に黄葉している樹木があります。これもニセアカシアです。
1-085 ニセアカシア(黄葉) 2012.6.10
この写真は、上段写真のニセアカシアを園路沿いに撮ったものです。時期は6月上旬。ちょうど芽出しから新緑になる時期です。
1-004 ニセアカシア 黄葉 水道局南営業所2012.6.15
これは、南区川沿国道230号線沿い、中村記念病院の外構に植えられているニセアカシアです。6月上旬に撮っています。少し寒さに弱いのでしょうか、枝先が枯死しています。
1-002 ニセアカシア 黄色 中村記念病院2012.9.2
上と同じ中村記念病院、9月のニセアカシアです。春先の枝枯れなど全く影響を感じさせないほど元気に成長しています。ほかのニセアカシアに比べて黄色く見えるのですが、特に、枝先、新葉の黄色が濃いようです。
このニセアカシア、インターネットのサイトで調べると、「フリーシア」という品種名がついていて、専門業者で販売されています。
中島公園の黄葉になるニセアカシアは、通常のニセアカシアに紛れ込んで植えられたようにも見えますが、中村記念病院の場合は、ニセアカシア「フリーシア」として植えられているように思います。
先ほど上段で、ニセアカシアはくすんだ緑葉を初冬までつけている話をしましたが、もし、ニセアカシアを新たに植えるとするなら(今、外来生物法などで問題となっているニセアカシアですが)、夏場はレモンライムの明るい緑葉で、秋口に黄葉するニセアカシアのほうが季節感があって良さそうです。付け加えると、通常のニセアカシアに比べて枝の伸びが少ないというか、成長が穏やかなようです。

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災難を勢力拡大の好機とするニセアカシア

2年前の2010年10月26日の夜から27日明け方にかけて季節はずれの大雪が降りました。自宅前の道路には30cm近く積もっていたように思います。気象庁のデータで調べてみますと、札幌で7cm、小金湯(札幌市中心部から約20km郊外:定山渓温泉の近く)で33cmの積雪が記録されています。このような季節はずれの大雪は10年に1度ぐらいの頻度でやってくるのですが、10月に降る雪としては、一昨年の大雪は、20~30年の一度?それくらいの大雪でした。
1-s-ダン11
2010.10月末
場所は南区にあるエドウィン・ダン記念公園です。10~20cmの積雪があったのではないでしょうか。場所によってはそれ以上降っています。
この写真は、大雪の降った数日後に撮ったものです。ニセアカシア?が根元からポッキリ折れています。雪の重みに耐えられなかったのです。この時期に降る雪は冬の粉雪とは違い水気をたっぷり含んだ重い雪です。
1-RIMG0005 ニセアカシア2012.3.13
これは、自宅近くの空き地に生えているニセアカシアで、そのときの雪の重みで倒れたものを1年半後に撮ったものです。その翌年(2011年)の夏に倒れた幹から伸びだした新梢が多数見えます。
1-029 根萌芽
そして、2010年秋から2回目の夏を経たニセアカシアです。倒れた幹からは当然新しい枝が出ていますが、二セアカシア本体の周りからは、、根からの新梢(根萌芽:赤丸)が伸びだしています。来年の夏にはもっと大きくなっています。高々3~5年で林になってしまいます。ニセアカシアはこのようにして勢力を拡大していくのです。

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ニセアカシアの繁殖力

080 ニセアカシア 藻岩橋から2012.6.16
藻岩橋から豊平川の下流(ミュンヘン大橋に向かって)を撮った写真です。河原に白い点々が見えます。ニセアカシアの花です。
024 豊平川 石山大橋2012.6.18
石山大橋から下流側を撮ったものです。右岸側河原に白く見えるのはニセアカシアの花です。正面奥の薄い黄緑色をしている樹木もニセアカシアの花です。
南区内で流れている豊平川には、あちこちにいたるところにニセアカシアが生えています。
ニセアカシアは、明治初期に日本に導入されて以来、痩せ地でも成長が良いために、砂防・治山に利用されてきました。山奥に植えられたニセアカシアは、崩壊地に根を張り、山の斜面の安定に貢献してきたのですが、そこで成長した樹から出来た種子が河川の水に流されて下流の河原に定着していきました。
ニセアカシアの種子は、すぐに発芽するタイプと土の中で何年も休眠できるタイプの2種類があり、今、豊平川の河原で見られるニセアカシアは、川の水に流されてきて発芽した後者のタイプのようです。
027 ニセアカシア2011.7.5
この写真は、南区郊外の住宅団地横の緑地帯にあるニセアカシアを伐採して、そのあとの翌年の7月に撮ったものです。あたり一面にニセアカシアの芽が吹いています。ニセアカシアは、根の途中から芽を出して成長する「根萌芽」という増え方をします。これを放っておくと、数年後にはニセアカシアの藪になってしまいます。
027 ニセアカシア 種子 樹齢5~6年?2011.2.11
このニセアカシアは、樹齢4~5年くらいと思われます。枝にびっしり豆果をつけています。若いときから旺盛な繁殖能力を持っているのです。
道路工事できた法面や空き地にニセアカシアが集団で生えているのを見かけますが、それらは、この繁殖力によるものと思います。
これら3つの事例はニセアカシアの繁殖力の強さをあらわしています。この旺盛さが原因で、元々その地域に自生している植物に影響を与えるということで、外来生物法の要注意外来生物リストにあげられています。全国各地の河川では、ニセアカシアの伐採除去がおこなれています。その一方で、ニセアカシアの花から良質なハチミツが取れるため、養蜂関係者は、このニセアカシアの伐採に反対しています。
札幌市でも、駅前通の地下通路工事に伴う道路改修時に、歩道に植えられているニセアカシアを存続させるべきかどうかで問題になりました。
私たちは、普段何気なく公園や街路樹のニセアカシアを見ていますが、このニセアカシアはいろいろと問題の多い樹木なのです。
追記:2012.7.11
原産地の北米では,ある大きさに達したニセアカシアの多くがカミキリムシの一種によって幹に無数の孔を開けられ,強風や冠雪によって倒れてしまうのだそうです。

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ニセアカシアの芽出しはなぜ遅いのか?

追記:6月16日 ニセアカシアのてんぷら
047 ニセアカシア2012.6.15
「ニセアカシアの花はてんぷらにするとおいしいよ」と聞いていましたので、試してみました。
近くの川原でニセアカシアの花を摘んできて、
①花の中の虫などを取り除くために、水で濯ぎます。
②キッチンペーパーで水分を取り除きます。
③ころもをつけて、さぁっと揚げます(約30秒位?)
049 ニセアカシア てんぷら2012.6.15
出来上がりです。揚げたてはサラダ油の匂いと織り交ざってニセアカシアの甘い香りが鼻腔を刺激します。揚げたてを食べれば、てんぷらの材料の一つとして使えます。取り立てて美味というほどではありませんが、年に一度、季節を感じる一品として楽しむことが出来ます。
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追記:6月15日 ニセアカシアが満開です。
043 ニセアカシア 南郷通2012.5.27
南郷通のニセアカシアです。5月上旬に芽吹いたニセアカシアが5月下旬になってやっと新芽から新葉になったところです。
050 ニセアカシア 南郷通2012.6.12
それから2週間ちょっとで白い花を咲かせます。
051 ニセアカシア 南郷通2012.6.12
南郷通中央分離帯植えられているニセアカシアの中で、目立って花付きの良い樹です。全ての樹がこれくらい花をつければ壮観でしょうね。
016 ニセアカシア2012.6.13
230号線石山大橋近くの豊平川沿いにあったニセアカシアです。
013 ニセアカシア 石山大橋012.6.13
これも上の写真と同じ場所で撮ったものです。南区の豊平川沿いはニセアカシアの白い花で一杯です。
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5月も下旬に入り、周辺の山々は新緑で覆われ、公園や街路樹の樹木も勢いよく葉を広げ始めました。芽だしの遅いシンジュやプラタナス、そしてニセアカシアも芽吹き始めました。
街中には街路樹として、ナナカマド、イチョウ、プラタナス、ニセアカシアが多く植えられています。ナナカマドが4月下旬に芽吹き、中旬には青々と葉を展げます。イチョウも目出しは遅い部類に入りますが、5月中旬後半には芽吹き始めます。
ニセアカシアとプラタナスの展葉はそれよりも遅い感じがします。街中の街路樹でよく見かけるこの2樹種は、毎年、剪定されるために新芽が少なく展葉しても数が少ないため新緑が目立ちにくいということもあると思われますが、それでも、公園の樹木や庭樹が新緑で青々としているのと比べると、この2種の芽だし・展葉がひときわ遅いように思います。5月下旬になっても枯木ような街路樹が目につくのです。
それで、ニセアカシアの芽だし時期がいつごろ始まり、どのように変化するのかを観察してみました。
089 ニセアカシア2012.5.20
真駒内公園です。青々とした樹木と芝生の中で、中央に枯木のように見える樹が数本立っています。ニセアカシアです。
009 ニセアカシア2012.4.21
我家の近くに生えているニセアカシアの新芽を4月下旬に撮ったものです。普通、多くの芽は、サクラやハルニレのように芽鱗と呼ばれる新芽を保護する鱗状の小片を被っています。しかし、ニセアカシアの芽は隠芽と呼ばれ、葉痕の中に新芽が隠されています。この写真は、新芽が動き出して、葉痕を押し上げているところです。
143 ニセアカシア2012.5.2
そして、5月上旬には新しい芽を出しています。ちょうど、エゾヤマザクラの花が咲く頃で、多くの樹木が芽吹き始める頃です。
065 ニセアカシア2012.5.5
3日後には、少し展葉しかけています。
017 ニセアカシア2012.5.17
葉を展げていますが、枝の太さと比較して見てください。芽出しから半月近く経ってもこの大きさにしかならないのです。どうも、ニセアカシアは、他の樹木に比べ、展葉の仕方、芽出しからの成長が遅いようです。
最初の写真で「枯木のように見えるニセアカシア」と表現しましたが、実は、枝先には新葉が展開しているのです。1枚目の写真でニセアカシアの枝先がモヤモヤしているのは、新芽のようです。ニセアカシアの新緑が目立たなくて枯木のように見えるのは、新芽の色合いが暗緑色であることと、その成長が遅いこと、この2つに原因があるようです。
それでは、「なぜニセアカシアの新芽の成長は遅いのか?」
推論をしてみました。
落葉広葉樹は、通常、葉を落とす前に、葉にある養分、主に窒素を樹体に引き戻します。それを済ませてから落葉します。ところが、ニセアカシアは違うようです。ニセアカシアの落葉は遅く、札幌の都心部では11月の半ば近くまで葉をつけています。落葉した葉を見ると、イチョウの黄色やモミジの紅色、ナラ類の茶褐色などではなく、緑ががかった灰色をしています。窒素分を残したまま落葉するのです。
通常、樹体内の養分は、落葉後の冬期から春の芽出し前の時期に多く、夏場は少ないと言われています。その理由は、春から夏にかけては、蓄ええてきた養分と新しく葉で作られた養分は新葉の充実に使われます。その次に、樹体組織の充実が行われ、それが終わった段階で、冬の厳しい気象条件に備えるための体力の増強と春の芽出しを行うために養分を蓄えると考えられます。
ところが、ニセアカシアは窒素分を葉に残したまま落葉します。ニセアカシアは空気中の窒素を固定する根粒菌が根に共生しており、他の樹木に比べて容易に窒素を得ることができます。そのために、窒素を葉から引き上げる必要がないのです。ニセアカシアにしてみると、窒素を引き上げるのにもそれなりのエネルギーが必要で、葉から窒素を引き上げて体内に戻すのに使うエネルギーより、落葉時に窒素分を残したまま葉を落として、根粒菌から窒素分をもらったほうがエネルギー効率がいいと考えているのではないでしょうか?。おそらく、ニセアカシアは冬場に備える体力に必要なだけの栄養分しか蓄えないのです。春の芽出しから成長は前年秋に蓄えた栄養で成長させるのではなく、根から吸収する養分と根粒菌から得られる窒素に頼ろうと考えているのではないでしょうか?、芽出しからの成長が他の樹木より遅くなるのは、これらの理由からだと思うのですが、いかがでしょうか?

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