札幌の紅黄葉

2~3日前、テレビで定山渓の紅葉が見頃になっていると報道していました。 もうすでに街中のモミジ類も赤く色づいてきているもが出てきています。

 2017.10.26
豊平川沿いの藻岩山の山肌 イタヤカエデを中心とした黄葉。写真は五輪橋から撮影

紅葉・黄葉は最低気温が8℃以下になると色づき始め、5~6℃になると急速に色づくといわれています。 札幌で最低気温が8℃以下になるのは10月14日(1981~2010年までの過去30年間の平均)ですので、本格的な紅葉シーズンがそこまでやってきています。 日中の気温が高く、放射冷却で夜間に冷え込む晴天の日が続くと美しい紅葉になるといわれています。 今年は10月に入ってから比較的好天に恵まれていますので、美しい紅葉が見られそうです。

今から30~40年前は定山渓の紅葉は10月上旬で、我家近くの豊平川沿いの山肌は10月中旬というイメージがありました。 しかし、最近は定山渓で10月中旬、我家の近くで10月20日以降の下旬が普通になってきました。 感じとして、10日~2週間弱紅葉が後ろにずれてきているような気がします

それで、最近10年間(2009〜2018)と40年前の10年間(1969~1978)の10月の平均気温を調べてみました。

2009  12.5℃
2010  12.2℃
2011  12.1℃
2012  13.0℃
2013  12.9℃
2014  11.3℃
2015  10.8℃
2016  10.6℃
2017  11.3℃
2018  13.0℃
合計 119.7 ÷ 10 = 11.97 ≒ 12.0℃

1969   9.8℃
1970  11.2℃
1971  10.5℃
1972  11.9℃
1973  10.3℃
1974  10.5℃
1975  10.4℃
1976  10.5℃
1977  11.3℃
1978  10.9℃
合計 107.73 ÷ 10 = 10.73 ≒ 10.7℃

最近10年間の10月の平均気温は12.0℃で、40年前の平均気温は10.7℃です。 現在は40年前に比べて1.3℃上がっています。 この温度の差は、どういう意味合いがあるのでしょうか。
一つ目は、緯度と温度の関係です。 緯度が高くなればなるほど気温は低くなり、反対に、緯度が低くなれば気温は高くなりますが、おおよそ100kmの距離で1℃の差が出るといわれています。 札幌の現在と40年前までは1.3℃暖かくなったということは、地図上でおおよそ130km南下したことになります。 札幌から直線距離で南に130kmの地点は、道南の函館辺りになります。 札幌の現在の秋の気温は40年前の函館の秋の気温と同じくらいということになります。 函館の実際の40年前(1969~1978の平均)の気温は11.1℃と上に示した数値より高めですが、それでも、現在の札幌の秋の気温は函館の40年前の温度に近かったのです。 ちなみに、札幌と函館の緯度は、43°04′と41°76′です。

二つ目は温度と紅葉時期の関係です。  我家の近くの山々を見て感じている紅葉の遅れ、この30~40年で10日~2週間弱遅れるようになったのは、10月の気温が1.3℃高くなったことが原因なのですが、1.3℃高くなって10日~2週間弱紅葉が遅くなったということは、大雑把の大雑把に言って、10月の平均気温が0.1℃上がると紅葉が1日遅れることになります。

日本が戦後の復興を終え高度成長期に入り、札幌も昭和40年~平成の始めにかけて毎年4~5万人の人口が急増し、札幌市郊外に広大な住宅地が多数造成されるなど都市の拡張と都市活動の活発化で都市内の気温が上昇しました。 しかし、札幌市の人口も200万人を限度に今後は減少することが予想されています。 その意味で、今後都市の膨張が抑えられることと都市活動の減少に伴い、気温の上昇も抑えられると推測されます。
しかし、地球規模で見ると、大気中のCOの増加や海水温の上昇等地球の温暖化が進行して世界のあちこちで問題が発生しています。 この温暖化の大きな要因と 考えられるのが自動車の排気ガスや工場や原子力発電所の温排水等人類の活動とその増加です。 このまま世界の人口が増え続けると増々地球の温暖化が進み、その影響を受けて、これから30~40年後に札幌の10月の気温がもう1℃上がる可能性も考えられます。 そうすると、札幌の紅葉も11月に入ってからということになるかもしれません。
紅葉の話が地球規模の環境問題になってしまいましたが、このことが原因で札幌が暖かくなって紅葉が遅くなっても少しもうれしくはないですね。

 

 

 

紅葉(着々と進む冬への準備):豊平川沿いの山々(その2)

 土曜日(10月11日)に定山渓へ行ってきました。目的は、紅葉狩りとお風呂です。来週の週末では紅葉も落葉になってその美しさは消えてなくなっていると思い、出かけてきました。 天候はいまいちで時々雨がぱらつくあいにくの空模様でした。 我家は定山渓に比較的近いので、午後2時過ぎに家を出たのですが、案の定、3連休の初日と紅葉が重なって、渋滞に巻き込まれました。普段なら定山渓まで車で20分ちょっとで行けるところを、倍の1時間近くかかりました。
簾舞を過ぎて豊滝辺りまで来ると、豊平川沿いの山々が黄色に染まってきます。この近辺の山々は、イタヤカエデ、アカイタヤ、オニグルミ、シナノキ、オオバボダイジュ、シラカバなど黄葉する樹が多く、エゾヤマザクラやオオモミジなど紅葉する樹の密度が低いためか、山々が“黄色に染まる”、“黄金に輝く”(少しオーバー)という表現がぴったりのようです。
<追記:10月28日>
この近辺の山々が黄色に染まるのは、紅葉樹の密度が低いのでなく、オオモミジやハウチワカエデなどの紅葉する樹はシナノキやオオバボダイジュ、イタヤカエデなどの大きな樹に比べて小さいため、おそらくそれらに覆われて遠くからでは見えないのでしょうね。

豊滝
2014.10.11 豊滝

1-003 八剣山2014.10.11. 八剣山

豊滝
2014.10.11 豊滝

定山渓
2014.10.11 定山渓

定山渓
2014.10.11 定山渓

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紅葉の始まり(着々と進む冬への準備):札幌周辺豊平川沿いの山々 

日本の標準時子午線は兵庫県の明石を通っています。ので、札幌は日の出が西日本に比べて約1時間早く、太陽の南中が11時頃になり、日の入りも1時間早くなります。
お盆前までは午後7時頃まで明るく、気温も高いので、「まだ夏なんだ」と思えるのですが、9月に入ると、6時半頃には薄暗くなり、秋分の日を過ぎる頃には、午後6時はほとんど夜になっています。 9月は「陽が落ちるのが急に早くなった」 と感じる月です。
ついちょっと前に過ぎ去った6月の爽やかで午後8時前まで薄明るかった頃は、家庭菜園に種をまき、苗を植え、それが大きくなるのが楽しみで、明るい太陽の下で作業をしていたのです。今、目の前にあるそれは、3時過ぎには隣家の長く伸びた影の中で、キュウリは干乾びた葉と曲がりくねった果実をつけ、ミニトマトは果実が割れて多くが取り残され、6月の手入れの行き届いた畑に比べると、収穫を終えた少々荒れ気味の見捨てられた畑になっています。ひと夏が終わったいう思いになります。 そして、これからそう遠くない時期にやってくる北国の暗くて長い冬が頭の中を過り、特に雨が降った日などは「今年も終わってしまったんだ」などとなんとなくふさぎ込んだ気分になってしまいます。(少し、センチメント過ぎますか?)
大通公園のハルニレが、黄色と褐色の中間的な色合いで黄葉し始めています(お世辞にもきれいに黄葉しているとは言い難い)。自動車の排気ガスのせいでしょうか、都心部にあることもあって環境のストレスが大きいのか、周辺の山々に比べると黄葉と落葉が早いようです。樹冠上部の葉を相当落している樹(ハルニレ)も見られます。
札幌周辺の山々が本格的に紅葉するまでにはあと3週間くらいありますが、濃紺の夏に比べると色あせた緑色となった山肌の樹々は、紅葉・黄葉に向かって日に日にその色を変えていきます。
平成12年(2012年)に、藻岩山の定点観測(1回/1ヶ月写真を撮る)した同じ場所から取っています。
1-009 藻岩山2014.9.23
藻岩山
028.jpg2014.9.23
定山渓温泉
山の下側に、薄い緑色の樹が数本見えます。ヤチダモではないでしょうか。ヤチダモは、他の樹木に比べて冬への準備が早いようで、この時期に白っぽい葉や黄緑の葉に変化したヤチダモの樹をよく見かけます。
031-001.jpg2014.9.25
小金湯
033-001.jpg2014.9.25
豊滝 正面の山は八剣山

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紅桜公園

札幌の中心部は、イチョウが黄葉の盛りです。公園などではきれいに黄葉していますが、街路樹は、黄葉しきれない緑の色素が抜けきらない色あせた黄葉になっている樹が多いようです。
周辺の山々、私の住んでいる南区の豊平川沿いの山々は、ほとんど落葉してしまいました。
1-008 紅桜公園2012.10.31
写真は、札幌市郊外にある紅桜公園の駐車場横の紅葉です。1週間前に撮っています。ちょうど紅葉の盛りです。
1-009 番号付き2012.10.31
①ヤマモミジ、②アズキナシ、③ミズナラ、④コナラ、⑤イヌエンジュ、⑥アカイタヤ、⑦コシアブラ
番号 ③ のミズナラ が7本ありますが、まだ緑色した樹がある一方、ヤマモミジに近いような橙色の樹があったり、ノルウェーカエデのように暗赤紫色に近い葉を持つ樹もあり、紅葉は変幻自在?というか、光や土壌条件は同じようでも、個々の樹によって多様な変化が現れるものですね。

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紅葉について(その3) 褐葉

紅葉について、(その1)では紅葉を、(その2)では黄葉を調べてみました。今回、その3は褐葉です。褐葉は、ミズナラ、コナラ、カシワ、クリなどのブナの仲間やケヤキ、トチノキなどを思い浮かべますが、モミジ類の紅葉、イチョウ、カツラなどの黄葉に比べて目立たないというか、そちらに目が行かないというか、地味な存在であることは確かです。とりあえずまとめてみました。褐葉を取扱うサイトが少ないのですが、その中で、
ウィキペディアでは、
① 黄葉と同じ原理であるが、タンニン性の物質(主にカテコール系タンニン、クロロゲン酸)や、それが複雑に酸化重合したフロバフェンと総称される褐色物質の蓄積が目立つためとされる。
② 黄葉や褐葉の色素成分は、量の多少はあるがいずれも紅葉する葉にも含まれており、本来は紅葉するものが、アントシアンの生成が少なかったりすると褐葉になることがある。
「黄葉と同じ原理である」と書かれているので、自分なりの理解として、黄葉は、クロロフィル(葉緑素)が分解されて、元々あるカロチンが目立つようになる、紅葉は、アントシアンという物質が落葉前に新たに合成されると思っていましたので、①の文章の「褐色物質(フロバフェン)が蓄積される」と書かれると、それじゃ、紅葉と同じ原理ではないではないかと思ってしましました。しかし、褐色物質の蓄積される時期が夏場の場合もあり、その場合は、褐葉時に元々あった色素が目立つようになる で理屈は通るのですが 、化学、有機化学に疎い者にとってはこれらを理解するのは、ほとんど不可能に近いです。
1-010 コナラ エドウィン・ダン2012.11.5
中央の褐葉:コナラ、左側:プラタナス、右側のコナラ下側橙色がかった褐葉:ブナ エドウィン・ダン記念公園
また、別のサイトでは
○ 褐葉する樹木はコナラ属の仲間に多く、「アントシアン」のかわりに、タンニン系の物質「フロバフェン」phlobaphene が合成することにより褐色となります。このタンニン系物質は、化学的には「アントシアン」と似ていて、糖分を出発に作られますが、最終段階で赤色色素か褐色色素かに分かれるそうです。
このサイトでは、褐葉のメカニズムを紅葉のそれと同じだとしています。私としては、こちらのサイトのほうがしっくり頭に入っていきます。
もう一つ、日本植物生理学会が運営するサイトに、子供から大人まで、植物に関する素朴な疑問に、大学の先生方が丁寧に答えるという「みんなの広場」というコーナーがあります。その中に「紅葉」についていろいろ書かれているのですが、それらを読んでみて、以下のようにまとめてみました。
① イチョウやカツラは黄葉するが、紅葉はしない。その理由は、アントシアンを合成する遺伝子が欠如しているか 、その部分に何か不具合があって、アントシアンを合成できないからである。
②モミジ類など紅葉する種類は、アントシアンを合成できるので赤くなるが、元々葉の細胞にカロチノイドがあるので、条件によっては黄色にもなる。
③褐葉については、その元であるタンニン物質の「フロバフェン」が合成されるために起こるが、これは細胞内の物質が酸化分解してできる。カロチンやアントシアンも酸化分解して「フロバフェン」になる(この部分を記した先生の話によると、植物では、色々な成分が作られて行く過程(生合成)に関する研究に比べ、分解に関する研究はずっと遅れているそうで、「フロバフェン」についても正確なことはまだわかってなそうです)。落葉前に生じる葉色の変化は、カロチンとフロバフェンが関わる場合は、褐色⇔黄色に変化し、アントシアニンとフロバフェンが関わる場合は、褐色⇔赤⇔橙⇔黄 の場合がある。
確かに、トチノキの紅葉を見ても、鮮黄色~黄橙色~褐色の変化があるし、モミジ類でも赤味を帯びたような、くすんだ褐色の葉を見かけます。
以上のように超簡単にザックリとまとめてしまいました。これが自分なりに理解した「紅葉」ですが、どんなもんでしょうかね?
それにしても、紅葉は複雑にして多様です。紅葉については、みんなの興味を引き、研究の対象としては面白そうですが、その割りに研究がされてないようです。確かに、紅葉は趣味の世界では興味の対象にはなりますが、研究の対象としては、これを研究することによって、経済的効果があるとか、人の命を救うというような人類が利益を得るという対象でないため、研究者も少ないのでしょうね。余計な話をしてしまいました。
1-005 ハウチワカエデ 十五島公園2012.11.3
右側の褐葉:ミズナラ、中央の紅葉:ハウチワカエデ 十五島公園
1-001 ハウチワカエデ2012.11.3
上の写真のハウチワカエデを樹冠内(下)から撮影