こぶ(その2) 虫こぶ

こぶ(その1)では剪定という人為的な行為によって、樹木にこぶができたのですが、今回は虫(昆虫)によるこぶです。
 2011.10.8
写真は、ヤナギについたこぶ、虫えいです。
病名?こぶ名?はヤナギエダマルズイフシ、寄生主はヤナギマルタマバエです(おそらく)。
2011.10.23
ケヤキの葉についたこぶ、その名前はケヤキハフクロフシ、寄生主はケヤキフシアブラムシです。

大通公園西6丁目に大きなケヤキの樹が数本植わっていますが、それらの樹の葉にも夏場になるとびっしりとこのこぶが付いているのを見ることができます。

このこぶは、樹木では細い枝や葉に付くことが多いようですが、草本にもつくそうです。 そして驚いたことに、こぶをつくる原因者は、ハエやハチなど昆虫類だけではなく、ダニや線虫類、カビや細菌、ウィルスもこぶをつくるのだそうで、広範囲の生物が植物にこぶをつくるようです。 昆虫がつくるこぶを “ 虫えい ” といいますが、それ以外の生物もこぶをつくるので、それらを含めてこぶのことを “ ゴール ” と言うそうです。

それにしても、この虫えいはどのようして出来るのでしょうか?
虫たちが小枝や葉に卵を産み付け、その卵が孵化し幼虫になると、その幼虫がオーキシンやサイトカイニンなど植物ホルモンを自己生成し、植物体を吸ったり食べたりして植物を刺激すると、植物の細胞が異常増殖して、写真のようなこぶができるようです。
「虫こぶ入門」によると以下のように説明しています。
⓵寄生生物の影響で、植物の細胞、組織、器官が病的に、過成長や過増殖したもの、
⓶動物や植物の寄生により、植物に生じた成長と分化の異常
つまり、生物の寄生の影響で、植物体の細胞に生長や分化の異常が起こり、結果として奇形化したり、過度の肥大化あるいは未発達に終わるような組織や器官が “ ゴール ” ということになる。

<余談>
このこぶの名称は長くて読むことさえ面倒なのですが、タマバエ類、タマバチ類、アブラムシ類の場合、規則的に命名されている場合が多いのだそうです。

寄主植物名 + 虫こぶの産する部分 + 虫こぶの形態的特徴 + フシ(虫こぶ)

ヤナギエダマルズイフシの場合、
ヤナギの  + 枝についた   + 丸い(ズイは不明)+フシ(虫こぶ)
ということになります。

ケヤキハフクロフシの場合、
ケヤキの  + 葉についた   + 袋状の      +フシ(虫こぶ)
となります。

 

こぶ(その1) 剪定こぶ

街路樹は、⓵道路と建物の間に挟まれた狭い歩道に植えられていること、⓶上空には電線や通信線が走っていること、⓷電柱や街路灯・標識など道路の付帯施設が不規則な間隔で並んでいるために、その生育空間は極めて限られています。
2011.11.3
写真は、市街地に植えられている街路樹プラタナスです。
枝の形状を見ると、枝先が丸く膨らんでいたり、枝の途中にもこぶのように膨らんだ部分があります。 このこぶのように膨らんだ部分が剪定こぶです。 これは、同じ位置で長年剪定を繰り返し行ってきたことによってできたものです。

枝の中程にあるこぶは、一度その場所で剪定を繰り返したためにできたものですが、その後、その場所から出てきた徒長枝を伸ばして枝を長く(樹冠大きくする)したために途中のこぶになったようです。
樹冠をそれ以上大きくできなくなった場合やこぶが大きくなって醜くなった場合などは切り戻し剪定を行います。 これは、こぶを切り取って、切り口付近から出てる徒長枝を伸ばす方法です。 2012.5.26
枝先のこぶに、20cm程で切り取られた徒長枝が4本見えます。 来春、ここから枝をの伸ばして葉をつけます。 写真左側の大腸のふくらみのようなこぶ状の枝は、何年かその位置で剪定を繰り返し、少し枝を伸ばして、また何年かその場所で剪定を繰り返したためにできたこぶのようです。

それでは、どうして同じ位置で剪定を繰り返すとこぶができるのでしょうか?

ある枝を中途で切断すると、それまで頂芽優勢で休眠状態にあった切り口付近の潜伏芽が起き出し、シュート(徒長枝)が数本形成される。シュートには各節ごとに脇芽が形成されるが、シュートの基部近くには極めて小さな芽が多数あり、それがほとんど潜伏芽となる。 
そのシュートが基部近くで切除されると、切断部と基部の間にあるごく小さな潜伏芽がいっせいに起き出すので、シュートの数はさらに増える。 シュートが発生すると、そのシュートを支えるための枝の組織がシュートの組織と複雑にからみあいながら基部に被さってくる。 また、枝先から放射状に伸びた各シュートは光合成産物を基部に送るので、枝の先端部に光合成産物が集中して供給されるかたちとなり、きわめて高いエネルギー状態になっている。 ・・・・・・・・(絵でわかる樹木の知識)

上の写真で枝先のぼこぼこに膨らんだこぶは上述の説明を端的に表しています。

 

マイマイガ(その3):アカナラの大木が丸裸

札幌は久しぶりに雨でした。昨晩(7月22日)から降り出して今朝まで降っていました。ざぁーざぁーと激しく短時間に降る雨ではなく、しとしと一晩降り続けました。札幌の24時間雨量は9.5mmです。ゆっくりじっくり地面に沁みていく雨です。作物にとっては本当に恵みの雨でした。これで我家の野菜たちも一息ついたでしょう。
3連休の初日、土曜日(7月「19日)に真駒内周辺をぐるぐるっと自転車で回ってきました。真駒内地区の個人住宅の区画面積は平均100坪くらいかそれ以上あるため、それぞれのお宅には広い面積を活かして立派な庭や手入れの行き届いた庭が数多くあります。宅地造成されたのが昭和40年代ですので、すでに50年近く過ぎており、各お庭には年数を経た立派な樹や株物も多いのです。それで、「何か面白いものないかな?}と、ときおり自転車でこの住宅街を走り回るのです。
今回、見つけたのは個人の庭ではなく、公園、公園の樹でした。
015 アカナラ2014.7.19
葉がほとんどない樹がアカナラ、左下に咲いている白い花はノリウツギ 真駒内泉町公園
この真駒内地区にある泉町公園や緑町公園、街路樹(真駒内団地中央線)で、ほとんど葉がない大きな樹が目立つのです。樹種はアカナラです。マイイマイガ(カシワマイマイ)の幼虫に食い尽くされたようです。今夏、南区(札幌)ではマイマイガが大発生して、真駒内公園では、その幼虫が樹木を無差別に好き嫌いなく食い荒らしていました。しかし、同じ真駒内地区でも、ちょっと離れたところ(アカナラの樹が多く植えられているところ)では、それらの樹木が集中的に攻撃を受けているのです。
016 アカナラ2014.6.19
そして、アカナラの太い幹に白い布(不織布)が巻きつけられているのです。
「これはどういう目的で巻きつけられたのだろう? もしかしてマイマイガ対策?」と思い、公園の管理者である、南区土木センターに問い合わせてみました。
担当者の話では、
「南区では、今夏、マイマイガ(カシワマイマイ)が大発生しています。カシワマイマイは名前のとおりカシワやアカナラなどブナ科の樹を好み、真駒内地区にはアカナラの大樹が多く、酷い被害を受けています。その対策、今後の予防として、白い布を樹木に巻いています。建物の白い壁などにマイマイガの成虫や幼虫を見かけますが、これは、マイマイガが“白”を好む傾向があるためです。この性質を利用して、幹に白い布を巻いておくと、その隙間に幼虫が集まります。また、ここで蛹になるものも多く、産卵も集中するため、蛹や卵塊を集めやすくなります。巻いた後は、7月下旬まで定期的に見回り幼虫・蛹を集めて駆除します。その後は、産卵が終了した9月以降に卵塊の付いた布を撤去し、処分します。」
という話でした。
017 マイマイガ2014.7.19
緑町公園の大樹アカナラの幹にとまっているカシワマイマイガの雌成虫?
マイマイガは産卵すると、その後飛ばなくなり、成虫の寿命は最長、雄で6日、雌で10日くらいなのだそうです。産卵時期が7月下旬~8月中旬なので、おそらく、写真のマイマイアガも産卵をし終えて、あと数日の命なのでしょう。

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マイマイガ:大発生

7月6日(日曜日)に真駒内公園へ行ってきました。途中、地下鉄真駒内線沿いにある保安林を見ながら自転車で走ったのですが、その樹林でi周りの樹木に比べると葉色の違う樹があり、なんだろう?と近づいて見ると、
010 マイマイガ2014.7.6
その樹はほとんど葉がなくて丸坊主になっているのです。そのような樹がところどころに見つかるのです。樹種は不明
011 マイマイガ2014.7.6
南区(札幌市)でマイマイガが大発生していると聞いていたので、「マイマイガに食われたのだろう?」と推測するのですが、確認できません。 樹種はミズナラ?
真駒内公園に行って、樹々を見ると、ハルニレ、ミズナラ、カエデ類、オニグルミ、エゾノコリンゴ、ズミと、おそらくほとんどの樹種が被害にあっているようです。マイマイガは食べる葉に好き嫌いはなさそうです。
園路沿いに植えられているズミの樹に近づき、幼虫の写真を撮ろうと眺めていると、何かムズムズするので足元を見ると、黒いマイマイガがふくらはぎを這い登ってきているのです。慌てて手で払ったのですが、よく見ると、もぞもぞ動いているものや、歩行者などに踏み潰された残骸などが点々と地面に散らばっているのです。気持ち悪くなって、その場をさっさと離れました。
041 マイマイガ カシワマイマイガ204.7.6
カシワマイマイ:最大体長約70mm。灰色から灰褐色、前胸両側と腹端に長い毛束がる。年1回発生。卵で越冬。幼虫は5~7月に出現する。毒毛はない(孵化幼虫については不明<マイマイがは孵化幼虫は毒毛を持ち、皮膚炎の原因になる。成長すると毒毛はなくなる。>)。成虫は8月に出現。(北海道 樹木の病気・虫害・獣害)
マイマイガ(カシワマイマイ)の食害は、1本の樹がをほとんど食い尽くされている一方で、横にある樹はまったく被害にあっていないという傾向があります。これは、ガの成虫の卵の産み方、どの樹に卵を産むか?によると思うのですが、数知れないマイマイガの成虫が特定の樹に、しかし、樹種(餌)の好き嫌いはなさそうで、卵を産み付けるのは、どのような理由によるものなのでしょうかね?
また、園路沿いに列植されているズミ(100m以上?)はほとんどすべて食い尽くされていました。これを見ると、マイマイガにも好き嫌いがあるように思えるのです。
帰りがけに、山鼻川沿いの樹木(藻岩山麓)を見たのですが、マイマイガに食害されている樹木は見当たりませんでした。これもまた不思議なことです。
右側 カテゴリーの “マイマイガ”に写真等のブログを載せています。 場所は“◎公園”の上にあります。
<余談:マイマイガの発生周期>
マイマイガは10年毎に大発生すると言われています。なぜそのような消長が起こるのか?、そのメカニズムは下記ページへ
http://matome.naver.jp/odai/2140480628661701801

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マイマイガ(その2)

4月17日の朝日新聞朝刊(道内版)に、今夏、札幌市で「マイマイガが大発生の恐れ」との記事を掲載しています。
016 マイマイガ2014.4.17
昨夏、札幌市などへ大量に飛来し、夜間に街灯や明るい外壁にびっしり群がったドクガ科のマイマイガ類が今夏も大発生する恐れがある。昨年の成虫があちこちに産みつけた卵塊から、ひとつあたり数百匹の幼虫がかえるとみられるのだ。幼虫は風に乗って拡散する可能性が高く、駆除するのは至難の業だ。「卵塊をみつけたら駆除して」大発生を防ごうと札幌市保険所が市民に呼びかけている。
道立総合研究機構林業試験場によると、マイマイガ類のマイマイガとカシワマイマイガの幼虫は、桜の花が咲く5月上~中旬、街灯や外壁、木の幹などに産みつけられた卵塊からかえる。卵塊は1つあたり数百個の卵を保有している。大発生した林では、1ヘクタールあたり最大で250万匹の幼虫が出てくる恐れがあるという。
http://blog.zaq.ne.jp/insect/img/img_box/img20110715184804218.jpg ← マイマイガの卵塊
マイマイガは、落葉樹の葉はもとより草や作物も食べるので、樹々が生い茂っている自然林などが近くにあって、庭木を大切にしている方は気をつけた方がよさそうです。
上述の林業試験場で、“マイマイガの生態・被害・防除 Q & A”を作成していますので参考にしてください。
http://www.fri.hro.or.jp/qanda/img/maimaiga.pdf#search=’%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AC+%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%82%B9′
昨年8月にマイマイガについてブログを書いています。関心のある方は、カテゴリ:未分類 マイマイガ を見て下さい。

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