メタセコイア 冬芽

2014.3.29
冬芽は卵形で断面は四角形。 芽鱗は多数で規則正しく重なる。 ふつう葉痕の上に冬芽はつかない。 枝のところどころに落枝痕があり、粉をふいたように白い。(冬芽ハンドブック)
冬芽の上部に白い面が見えますが、これが落枝痕のようです。
この写真では写ってないですが、枝のところどころに小さな白い点のようなものがあり、それが葉痕のようです。

 

トドマツ サッポロファクトリー

一昨日(11月17日)まではこの時期としては暖かかったのですが、昨日辺りから、本来の寒さが戻ってきました。 明日の天気に雪マークがついてます。 札幌の街が雪でスッポリと覆われる日も近いようです。
繁華街を歩くと “ ジングルベル ” や “ サンタが街にやってくる ” のメロディが流れる季節、クリスマスシーズンの到来です。

サッポロファクトリー  2015.11.12 サッポロファクトリー
サッポロファクトリー 2015.11.12
約35,000球の電飾に彩られるジャンボクリスマスツリー。 北海道広尾町の「広尾サンタランド」から贈られた高さ約15mのトドマツ。(サッポロファクトリーHPより)
子供たちが大きなクリスマスツリーの周りをキャッキャッと楽しそうに走り回っています。

<余談>
クリスマスツリー用の樹として使われるのは、モミというイメージがあるのですが、実際は、エゾマツ(アカエゾマツ)、トドマツ、ドイツトウヒ(ヨーロッパトウヒ)なども多いようです。 サッポロファクトリーはトドマツが使われています。

トドマツ アカエゾマツ 2015.11.16
写真左がアカエゾマツ、右がトドマツです。 二つの違い分かりますか? 葉の形状やそのつき方など、見た目の違いは分かるのですが、言葉で表現するとなるとなかなか難しいです。 一番はっきりした違いは、

トドマツ アカエゾマツ 2015.11.16
写真左:トドマツ、右:アカエゾマツ
トドマツの葉先は二つに割れて丸いのですが、アカエゾマツの葉先は尖っています。

トドマツはモミ属(Abies属)で、この仲間にはモミやシラビソなどがありますが、こちら(札幌)で普段見かけるのはトドマツです。 アカエゾマツは、トウヒ属(Picea属)で、その仲間には、トウヒ、エゾマツ(クロエゾマツ)、ハリモミ、ドイツトウヒ(ヨーロッパトウヒ)、プンゲンストウヒなどがありますが、公園などで見かけるのは、アカエゾマツ、ドイツトウヒ、プンゲンストウヒです。
トウヒ属の葉は先が尖っていて触ると痛いので(ドイツトウヒはそれほど硬くない)、トドマツと直ぐ区別がつきます。

イチイ 黄金山のオンコ

先週週末に1泊2日の樹木研修会があり、石狩市浜益にある黄金山のイチイ(オンコ)を見に行ってきました。
[map]石狩市黄金山[/map]
国道451を浜益に向って走ると、実田辺りで道路沿い右側に黄金山登山入り口の小さな案内板を見つけることができます。 そこから砂利道を2~3km?走ると黄金山登山口駐車場(5~6台駐車可)に着きます。 そこには、「黄金山のイチイ」の説明板が設置されています。
イチイ 黄金山 2015.9.19

黄金山への登山道とは別に、駐車場からイチイの巨木へ通じる一筋の山道を歩きます。 周りは鬱蒼とした森林(国有林)です。 500mほど進むと、樹林の間から
イチイ2015.9.19
黄金山のイチイが現れます。 樹林帯のなかで、このイチイの周囲直径30mほどは草地になっていて、周りにロープ柵が回っています。 周辺の景色を含めたその場の雰囲気を撮りたかったのですが、残念ながら場所が狭いために、樹の全体像も撮れませんでした。 樹高18m、幹周5.4m(直径1.72m)、樹齢1500年の大きな樹です。
樹幹中程で主幹が折れた痕が見えます。 落雷によるものか、台風などの強風で折れたのでしょうか? その脇から数本の太い幹枝が伸びています。

イチイ2015.9.19 写真は幹周を測っているところ。 環境省の巨樹・巨木調査では、原則として地上から1.3mの高さでの幹周りが3m以上の木を調査対象としている。

この巨木を見上げながら近づいていきます。 樹肌を見るとこぶ状に隆起していて、その上に苔が生えています。 触ると柔らかいのです。 普段庭木に植えられているイチイ(オンコ)の樹肌はガサガサしているのですが、この黄金山のオンコのものは、極細糸が繊維状に被っていてしっとりとした感触です。

イチイ2015.9.19
このような大きな空洞が。 高さは3mくらいで、奥行きも40~50cmはあるのでしょうか?中には、不定根が出ています。
この空洞は、その昔、大枝が折れてその下の樹皮に大きな傷が出来たことが原因ではないでしょうか? 太枝が折れるとその下の樹皮部分は枯死してしまいます。 そうすると木部は腐朽が進み、一方、樹皮は傷口の脇から巻き込みを形成して盛り上がってきて、その枯れた部分を覆うとします。 その結果、長い長い年月をかけて、このような空洞ができたもののようです。
イチイ
2015.9.19
太古の森の守主
秀峰 「黄金山」 のふもとで、壮大な自然の精気を宿し、幾星霜を重ね、厳しい風雪に耐えながら、深く美しい森の主として、今も凛とした樹姿で森に生き続けている。
・幹周り : 5.4m
・樹高  : 18m
・樹齢  : 1,500年
(説明板より)

カラマツ(その2) : 冬芽 

カラマツ:冬芽
1-009クリ2015.2.12
カラマツの冬芽と球果。 球果は2~3cmで他のマツ類に比べると小さいです。 球果の1枚1枚反り返ったうろこ状のものを “種鱗”(しゅりん) というのだそうです。 その種鱗の内側に種が入っています。
1-058カラマツ2015.2.12
カラマツの冬芽。 大きさは2~3mmと非常に小さいので、私の安物のカメラではなかなか上手く撮れなくて、冬芽の先のほうがピンボケになっています。
褐色の冬芽の基部に白い点々が一周しています。 これらは葉痕のようです。 そして、この葉痕が何段も積み重なっているように見えます。 数えると8段あります。 この冬芽(短枝)は、大きさ(高さ)は1cmくらいですが、8年経っているということになります。
1-023 カラマツ2013.3.24
円山公園のカラマツ。
幹径70~80cm、樹高は優に20mを超える立派な樹が列状に植わっています。
1-052 カラマツ 円山公園2011.10.9
カラマツは公園などでもよく見かける樹ですが、 特に、11月上旬に車で郊外を走ると、トドマツの黒味がかった緑が山肌を覆うぐらいで、ほとんど冬枯れの中にところどころ黄色い布で継はぎしたように樹木があるのを見かけます。 戦前?、戦中?戦後?いつごろか分かりませんが、カラマツが植林されたところです。
カラマツはそれぐらい良く見かける樹です。 今回は円山公園のカラマツを取り上げます。 その理由は、おそらく、この円山公園のカラマツは道内で一番古い樹、樹齢を重ねた樹ではないかと言うことです。 カラマツは寒さに強い樹ですが、元々北海道に自生している樹ではないのです。 私達が身近に見ているカラマツは全て植えられた樹なのです。 以下は、円山公園を管理している札幌市公園緑化協会のホームページからの抜粋です。
「 円山公園には、養樹園と呼ばれる苗木の育成センターが、開拓使によって明治13年に開設されていました。国内はもとより、様々な外国産の樹木をここで試験栽培し、殖産興業に役立ちそうな樹木の苗木を、道内に配布する役割を持っていたのです。そこから配布された樹木には、ウルシやクロマツ、アカマツ、ニセアカシアなどもありますが、カラマツもその中に含まれていました。園地中央部にあるカラマツの大木は、その名残の木であり、記録によると1890年(明治23年)に植えられていることが分かります。道内でも最も古いカラマツであるといえるでしょう。」
→ カラマツ

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メタセコイア(その1):生きた化石の盛衰

樹木研修が開催された道立林業試験場(正式名称:地方独立行政法人 北海道立研究機構 林業試験場)の正面に大きなメタセコイアの樹が立っています。
1-037 メタセコイア2014.9.27
樹高は27~28m?25mはありそうです。 2本立っていて、1本は目通り幹径65cm、もう1本は60cmです。当林業試験場緑化センター長のお話では、この樹は挿し木で増やしたもので、50年は経ってなくて、40数年とのことです。
メタセコイアは、 円錐形の美しい樹形をつくり、芽だし時期の柔らかい緑色と紅葉時の赤みを帯びた褐色が印象的で、北海道を含めて全国に公園や並木として植えられています。 1945年に中国の揚子江支流で発見され、生きている化石として有名です。
1-045 メタセコイア2014.3.29
冬芽は2~3mm。
1-028 メタセコイア2014.5.4
葉は対生。
1-036 メタセコイア2014.511
1-076 メタセコイア2012.8.27
球果、1.5~2cm
1-033 メタセコイア2014.4.23   豊平公園
1-137 メタセコイア2011.5.15  北大植物園
1-066 メタセコイア 北大2012.6.17  北大植物園
1-011 メタセコイア 時計台2012.9.18  時計台
1-017 メタセコイア 金葉2013.7.14  百合が原公園
オオゴンメタセコイア:メタセコイアの園芸品種
<余談:生きた化石メタセコイアの盛衰>
“植物の耐寒戦略”(酒井 昭著)にメタセコイアの盛衰と中国での発見について詳しく書かれています。一部抜粋して記しますので、興味のある方は読んで下さい。
〇北半球における寒冷気候の出現と植物の盛衰
今から4,500万年前(新生代第三紀)までは地球を1周する赤道海流が存在し、熱帯の暖かい海流が北極海に効率よく送られていた。 また、地球上には(ヒマラヤ山脈のような)大山脈がなく南北の熱交換が比較的自由に行われていたために、赤道と極との間の温度差が少なく、北極圏でも温暖で、湿度の高い常春気候であった。 そのため、北半球の高緯度地域にも温暖湿潤気候を好むスギ科の針葉樹(セコイア、メタセコイアなど)森林が繁茂していた。
① 北極圏の雪原で発見されたメタセコイア化石林
1985年、カナダの北緯80°アクセル・ハイベルグ島で、数百本のメタセコイアの化石林が雪原の下から発見された。調査の結果、樹高20~30m、樹齢150年の落葉性のメタセコイアを主とする、かなり高密度の湿地林が存在していたことがわかった。 この化石林は少なくとも4500万年前の新生代第三紀始ころのものと同定された。 その頃の現地の緯度は、現在とほとんど同じであったが、夏の気温は現在より20℃ほど高かったと推測される。
② (新生代)第三紀における寒冷気候の出現と植物相の変動
今から4,500万年~2,800万年前(新生代は6,500万年前~現在、6,500年前は巨大隕石が地球に衝突して、恐竜が絶滅した時期)にかけて、地球レベルでの熱交換システムが失われ、高緯度や中緯度では気温が約10℃近く低下し、それにつれて季節性が増大し、乾燥化が進んでいったと考えられる。 この気温の著しい低下によって、北極圏まで分布していた温暖湿潤性のスギ科針葉樹を主とする第三紀周北極植物群は中緯度まで南下した。 さらに第三紀後半(今から3,200~3,300万年前)から活発になったアルプス造山運動による山脈の上昇、大陸移動による海流の変化、内陸部における地域的な乾燥化などのため、赤道と極との間の温度差が著しく増大し、北極海の孤立と低温化および南極大陸の氷床形成が起こった。 こうした地形や気候の大変化(常春的温暖気候から夏暑く冬寒い乾燥した大陸的気候への移行)ため、寒冷乾燥気候に適応できなかったスギ科針葉樹は全面的に衰退し、数種類がかろうじて絶滅をのがれ、現在、隔離され遺存分布している。
③ スギ科植物の遺存分布
ⅰ メタセコイアの盛衰
メタセコイアは生ける化石として近年有名になったが、この類の化石はセコイア・ヤポニカとして日本各地で以前から発見されていた。また中国にはセコイア・チネンセが知られていた。 これらの植物化石を調べていた三木茂博士は、日本の第三紀のセコイア型の葉と球果がカリフォルニアの沿岸に現存するセコイアやアメリカ東南部に現存する落葉性のヌマスギ(ラクウショウ)とも異なることから、これらの化石に対して、1941年に新しいメタセコイア属を作った。 こうした三木博士の優れた洞察により、メタセコイアの存在が初めて認められたのである。
その後、アメリカのチェーニーによって、メタセコイアの広範囲な分布調査が行われた。その結果、メタセコイアは中生代中頃(ジュラ紀:恐竜が地球を跋扈した時代)アメリカの西海岸北部で起源した後、中生代の終り頃(白亜紀)から新生代第三世紀の初めにアラスカ、北極圏に大規模に分布し、さらにベリンジア(北アメリカ大陸とアジアを結ぶ陸橋) から日本、サハリン、沿海州中国に分布を広げたことが明らかになった。 アメリカ大陸では第三紀最後の鮮新生(530万年前~160万年前)の始まる前にすべて絶滅した。 わが国では、第三紀鮮新生後期(約250万年前)のメタセコイア化石林(直径1m)が東京都八王子市の北を流れる北浅川で1967年に発見された。 わが国でメタセコイアが絶滅したのは、氷河時代の前期(新生代=氷河期と考えてよさそうです。 今から6,500万年前)といわれている。
1945年、第二次世界大戦中、米中共同の植物相調査が四川省を中心に行われた。長江の支流、麿刀渓沿いを行くうちに、ある部落の祠(ほこら)のそばに1本の針葉樹が神木として立っているのに気づいた。高さ約35m、直径2.5mの巨木であた。その標本は、最終的に北京の胡博士によって、三木博士が化石で名づけたメタセコイアと同種であることが確かめられた。 そして、1948年に、生ける化石植物メタセコイアが中国で中国で発見されたと報告し、これにMetasequonia glyptostroboides Huet cheng (メタセコイア グリプトストロボイデス)という学名が与えられた。
中国で採集されたメタセコイアの種子が1949年にアメリカから日本に持ち込まれ、また、1950年にもアメリカから100本の苗が日本に持ち込まれ各地に植えられた。
インターネットで調べていたら、メタセコイアのすばらしい並木のサイトがありました。興味のある方は以下へ
メタセコイアの並木

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