カツラ(その9):カツラの香り(その2):お香

 今日から11月です。 豊平川沿いの山々は、ところどころにナラ類の褐葉を残す樹々が見られる程度でほとんど葉を落として冬枯れになっています。 遠くの山の頂はこの頃から白い雪に覆われ始め、11月のみぞれや雪の混じる一雨ごとに山の雪は我家に近づいてきます。そして、12月始め頃、街にまとまった雪が降り、屋根も道路も辺り一面が真っ白になったとき、札幌の本当の冬が始まります。 長くて厳しい冬が始まります。
今日の話題は、カツラの香り(その2) お香です。
その前に、カツラの甘い香り 綿菓子のような甘い香りに遭遇した場所の紹介を。
1-031 カツラ2012.10.14
真駒内川のサイクリングロード沿い(石山陸橋近く)に植えられているカツラです。 元々はカツラの生垣だったのですが、、定期的に刈込をしなかったために、このようになってしまいました。 こういうのを何というのでしょうかね? 高生垣? 自然風生垣? それとも、ただの放置されたカツラの列植?
1-007 カツラ2014.10.19
このサイクリングロードは春先から秋口まで頻繁に行き来する道なのですが、今までカツラの甘い香りに出会ったことはなかったのです。 ところが、今年の10月19日10時頃の晴れた朝に、突然、それは襲ってきました。 鼻腔をくすぐる程度の香りではなく、百合が原公園で剪定直後の生垣から発散していた甘い匂いと同じくらいの強さのものでした。
カツラのあの甘い香りの強弱があるのは、どのような作用?条件?によるものなのでしょうかね? ブログで、「雨が降った翌日の晴れた日」 という記事を読んだことがありますが、私の経験では、鼻腔をくすぐる程度の香りは、晴れ曇り関係なく匂ってきます。 しかし、印象に残る程の甘い香りは、百合が原公園の生垣と真駒内サイクリングロードの2ヶ所のみです。共通しているのは、2ヶ所とも大きくないカツラが列植されているというところでしょうか。
話を本題に戻します。
中央区南8条西12丁目南東角に、お香のお店“松栄堂”さんがあります。 その店の東側の道路沿いに大きなアメリカキササゲの樹があり、年に何回か写真を撮りに行っています。 ある時お店の前と通ると、正面入り口前に台座があり、その上に置かれている小さな香炉から一筋の白い煙が立ち上がっています。 付近には清楚で透明感のある?いい匂いが漂っています。 その匂いは、昔、「京都に行ったお土産だよ」 といっていただいた“匂い袋”の香りと同じものだったが印象に残っています。
カツラには、カツラギ、コウノキ、マッコウノキ、ショウユノキ、ミソノキなどの別名があります。 コウノキとマッコウノキの名前は、カツラの葉を乾燥させて粉砕し、抹香に用いたことに由来するそうです。 また、カツラの語源については、「香出ら」に由来するそうです。
それで、カツラの抹香をつくってみました。それに甘い香りが含まれていることを期待して。
カツラの甘い香りが一番強いのは落葉時なので、秋口の晴天が続いた日にカツラの葉を集めました。
1-011 カツラ
落ち葉を集めたときは、カサカサと乾いた音がしました。 そのときは、残念ながらあの甘い香りはしませんでした。
1-013 カツラ 抹香
写真は、その葉を手で細かくしたものを、すり鉢で更に細かくしたものです。
1-015 カツラ 抹香
香炉を持ち合わせていないので、小皿で焚きました。 それに入れて火をつけるとカツラの抹香は黒く燻り始め、白い煙が立ち上がります。 抹香の香りが辺りに拡がっていきます。 意識して鼻から空気を吸うと、その香りは私の鼻腔を刺激していきます。それは、綿菓子のような甘い香りを含んでいるであろうと想像していたものではなく、お葬式であげる焼香そのものでした。 期待していた“甘い香り”はまったく私の鼻腔を刺激しませんでした。

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カツラ(その8):綿菓子の香り

追記(9月18日木) 下記内容に間違いがありましたので一部訂正します。カツラの香りの元(成分)をマルトースと記していましたが、正しくは“マルトール”でした。
マルトール:着香剤として使う食品添加物。カラマツの樹皮からとる。(栄養・生化学辞典)
マルトールについて簡潔に書こうと思ったのですが、なにしろ化学の知識がないので諦めました。以下のサイトを載せますので、マルトールをイメージしてくだい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB
http://diet-navigate.com/diet-term/20140829-1/
~~以下が当初の記事~~
テレビで、北海道の最高峰大雪山系の山々が鮮やかに色づいてきたことを知らせていました。ナナカマドの赤、シラカバの黄、上空から映し出される眼下の紅葉は、テレビ画面からでもその美しさが伝わってきます。札幌もあと1ヶ月で紅葉シーズンです。樹々の葉色が日に日に抜けて色あせていくのがわかります。粛々と?冬支度を進めているようです。
3連休の初日、13日の土曜日に北区と東区に跨る百合が原公園に行ってきました。 百合が原公園は、25haの総合公園で、7月には約100種類のユリが咲き誇る、人気のある公園です。
http://www.sapporo-park.or.jp/yuri/   ←百合が原公園サイトへ
園内を自転車で周っていると、どこからともなく甘い香りがします。 カツラの香りです。
1-022 カツラ 百合が原2014.9.13
周りを見渡すのですが、カツラらしい樹が見当たりません。そして、その香りが強いのです。 普段 (年に数回)、新緑のときでも、黄葉時でも、カツラの樹に近づくと、その甘い香りはすっーと抜けるように、一瞬、鼻腔を擽るのですが、今回は違います。夏祭りの夜店で漂ってくる香り、綿菓子のあの甘い匂いです。インパクトのある香りです。
1-」2014.9.13
カツラの生垣
上を見上げて探してもカツラらしい樹木が見当たらないので、道路横の植栽に目を移すとカツラの生垣があります。甘い香りは、この生垣から出ているようです。今まで、カツラの生垣に近づいて、甘い香りが鼻を擽ったことはありません。
今回はどうして?、よく見ると、最近、2~3日前?に生垣が刈り込まれたようです。
マツやトウヒなどの枝を切り取ると、その切り口から透明な液(樹脂)がにじみ出てきます。大きな樹でも幹の表面を垂れ流れて固まった白い樹脂をときどき見かけます。あれは、枝が切られたか、害虫によって樹の内部を食害されたか、何かの理由で樹木に傷がつき、その傷口を塞ごうと、樹木が自分の体を守ろうとして出している物質(樹脂)です。
それと同じように、カツラも剪定された枝先を修復しようと出した物質、その物質があの甘い香りを発散させるのではないでしょうか?
それで、、その甘い香りの物質を調べてみました。“マルトース”※1という物質であることがわかりました。これは、水あめの主成分だそうで、下の説明を読んでもなかなかピンとこないのですが、“砂糖とよく似たもの”くらいのイメージなんでしょうか。それが、樹木の大敵である菌類(カビ)の侵入を防ぐ、防御物質(抗菌性物質)としての機能?作用?があるようなのです。しかし、樹木がつくる抗菌性物質(松やに=テルペン類、フェノール類)は、書物を読んでその単語はなんとなくしっているのですが、マルトースのような糖の仲間が抗菌性の働きがあるとは聞いたことがありません。
もし、このことについてご存知の方がいらっしゃれば、教えてきただければありがたいです。
※1 : 二糖類の一つで D -グルコース(ブドウ糖)の二分子からできている。デンプンに麦芽中のアミラーゼを作用させて得られる。化学式 C12H22O11 水に溶けやすい白色針状結晶で,甘味はスクロース(ショ糖)より弱い。水飴の主成分。麦芽糖。

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カツラ(その7):山を赤く染める

札幌はゴールデンウィーク中に爽やかな空とまぶしい太陽に一度もお目にかかれずに終わりそうです。ゴールデンウィーク初めの天気予報では、5月4,5日は晴れのマークがついていたのですが、オホーツク海沖の低気圧の影響?で5月5日まで雨まじりの曇の日が続くようです。気温も上がって10℃くらいで4月上旬の気候です。いやはや、いつまでこの天気が続くのでしょうか。
調べ物をするために中央図書館に行き,そのついでにコーチャンフォーにも寄ってきました。その道すがら見つけたのがこれです。
1-RIMG0043.jpg2013.5.4
中央区南29条西8丁目山鼻川沿いから撮っています。山肌には緑の気配はなく、斜面には今冬?最後の雪が残っています。しかし、山裾にもやぁっと赤味を帯びた樹木がところどころ見えます。カツラが開花しているようです。
1-RIMG0044.jpg2013.5.4
もう少し近づいて撮ってみました。
1-032 カツラ 雄株(赤字)2012.4.29 雄花
1-027(赤字)2013.3.22 雌花 枝を採取してきて、室内で開花させたものです。
山肌をもやぁっと赤く染めるのは、この雄しべと雌しべの赤色のようです。
カツラは、中生代の白亜紀(約1億年前)からほとんど進化をせずに、その当時と同じ姿で生きている希少な種だそうで、花も花弁のない雄しべと雌しべだけの原始的な形態で、花とも思えないちんちくりんの花を咲かせます。もし、カツラの花に小さくてもとりあえず花弁があれば、藻岩山の春の景色はもっと彩り豊かになっていると思うのですが・・・・。
1-022 カツラ 真駒内公園(赤字)2012.4.29
これは、真駒内公園の中を流れる真駒内川沿いに生えているカツラです。樹高19m、胸高幹径109cm、樹齢270年

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カツラ:700年の時を越えて(その3:秋)

今年は9月下旬になっても気温が高く、紅黄葉はあまり期待できないのではないかと思っていました。国営滝野すずらん公園へ行ったときもあまり期待はしていなかったのですが、カツラの黄葉は思いのほか良しとするものでした。
一昨日の朝、円山公園で行われる樹木研修会に参加する前に、真駒内公園に立ち寄って、紅黄葉の進み具合を見てきました。
 <写真再掲要>
2012.10.13
はっと思わせる鮮やかな黄葉です。通常のカツラとは少し趣を異にする橙色に近い黄葉です。 若木の端正な樹形に陽に輝く鮮やかな橙黄色の樹冠は人の目を引き付けます。
それで、あの小金湯の大カツラ、樹齢700年の大カツラを見に行ってきました。大いに期待をして。
1-081.jpg
2012.10.14
ご覧のとおりで、少々残念な気分です。
1-084 カツラ2012.10.14
樹の上部はほとんど落葉していて、ある部分は黄葉、また、ある部分ではまだ緑葉の状態で残っており、樹冠全体が一斉に黄葉することがないようです。
この小金湯の大カツラは、中央部の主幹はすでに朽ち果て周りから出てきたひこばえが大きくなったものの集まりで、1本の樹とはいえ、大きさの異なる幹の集まりです。その意味で、それぞれの幹で樹齢や活性度が異なるために、このような黄葉の仕方をするのでしょうか? 主幹のなくなった老大木のカツラはこのような黄葉の仕方をするのでしょうか?(このことを小金湯温泉の方に尋ねればよかったのですが・・・・・)
1-085.jpg
2012.10.14
しかし、この大カツラの樹冠下に入ると、カツラ特有のあのほのかな何とも言えない甘い香りがほんの一瞬鼻腔をくすぐります。ほんの一瞬です。そのほんの一瞬の甘い香りは鼻ではなく脳裏に残るのです。
小金湯の大カツラは、3月11日(冬)と5月10日(春)のブログで紹介しています。ページ右側のカテゴリー(樹種別:カツラ)をクリックすると見ることができます。

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カツラ:美しく黄葉する

晴天の体育の日に、国営滝野すずらん丘陵公園に行ってきました。
この公園は、札幌の中心部から約20km弱離れたところにある、広さが約400ha(2,000m×2、000m)で,その広大な敷地内の自然をそのまま公園にしています。この公園の中には、アシリベツ川沿いの渓流ゾーン、花壇や庭園、食事等のできる施設が配置されている中心ゾーン(有料区域)、自然観察ゾーン、森林体験ゾーン、保全ゾーンなどがあります。ここを訪れる多くの人は、中心ゾーンと渓流ゾーンになりますが、私もこの二つのゾーンを中心に2~3回/年、ここにきています。その中で、アシリベツ川沿いの渓流ゾーンの景色は、山の斜面に拡がる樹々の美しさと渓流沿いに伸びる散策路周辺の修景がマッチして、そこを歩くと、自然の中にすっぽりと包まれているという安心感というか穏やかな気分にさせてくれるのです。そして、その時々に変化する季節の色合いを楽しみながら歩く心地よさ、何度きても飽きない緑深い落ち着きのある雰囲気は、ここの奥深い自然の豊かさから出てくるものであると思っています。その中でも、渓流沿いに植えられたカツラは秀逸で、円山や小金湯にあるカツラのように何百年を生き抜いた重厚さや荘厳さはないのですが、均整のとれた樹形が、この渓流沿いの景観にピッタシで、私のお好みのスポットとなっています。
今年の9月の暑さを考えると、美しい紅黄葉が期待薄なことと、時期的にまだ少し早いかなと思いながら、そのカツラの黄葉の写真を撮りに行ってきました。
1-014 カツラ
8月下旬のアシリベツ川の渓流です。渓流の右手の樹がカツラです。この写真で、アシリベツ川渓流の雰囲気はとりあえず出ていますが、写真的にはいまいちです。
1-015 カツラ2012.8.26
これは、散策路と渓流の間の斜面に植えられているカツラです。ここのカツラと渓流を一緒にカメラに収められるポイントがあればいいのですが・・・・・。
1-040 カツラ2012.10.8
周りの未だ夏を思わせる緑の中で、カツラの黄葉が映えます。
1-020 カツラ 滝野すずらん公園 2012.10.8
この日はこの上なく良い天気で、カツラとその周りの緑が太陽の光に輝いています。
先週土曜日から今週前半にかけて天気の良い日が続きました。おそらく今週の週末が紅黄葉の見頃を迎えると思います。

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