ヒュウガミズキ  生垣

2016.4.27
地下鉄豊平公園駅乗降口1番(きたえーる側)を出て直ぐ左横へ歩くとヒュウガミズキの生垣に。 4月中旬〜下旬にかけて開花。 生垣の高さは約1.2mほど。
2020.4.18
ヒュウガミズキの花。 淡黄色の小さな花は釣鐘状のベルを連想させる。 2014.5.11
花が終わる頃に新芽が展葉。 花弁が落ちた後の花殻(がくと雌しべ)が見える。2017.6.17
6月中旬、新梢が赤く伸びる。

2011.6.4                                                         2012.7.18
ヒュウガミズキの新葉には赤い色素が発現。 その後に伸び出す新梢には赤味を帯び
た茶褐色の葉が。
2012.7.18
本州の福井県、京都府、兵庫県の北部にだけ分布する落葉低木。 高さは2〜3m。枝は多く分枝し、半球状の整然とした樹形になる。 (園芸植物大百科)
マンサク科トサミズキ属。

<余談>
ヒュウガミズキの名前に日向(現在の宮崎県)がついていますが、園芸植物大百科では自生地を福井、京都兵庫の北部と記載しています。 和名と自生地の関係はどうなっているのだろう? と調べてみると、
和名はヒュウガミズキだが、宮崎県日向の国にはまだ野生は知られていない
(原色牧野植物大図鑑)
◎記載なし(北海道樹木図鑑)
◎記載なし(樹に咲く花)
◎記載なし(日本の樹木)
日向(宮崎)にはないとされていたが、近年発見された。 しかし、近畿北部、富山、石川、岐阜に多く生える。 この名は明智日向守光秀の所領だった丹波に多く産したので、ヒュウガの名がつけられたとい説もある。(園芸大百科事典)
◎ヒュウガミズキの本来の野生地については、当時のロシアの植物学者マキシモビッチのために、日本各地の植物を採取していた須川長之助が、明治時代中期に伊勢の菰野山(こものやま)と丹後の宮津港の山地で発見した標本があった。 その後しばらく確認できなかったが、昭和の初期になって京都府北部の大江山その他の野生地が見つかり、さらに北陸や近畿の北部、また四国と九州の一部と台湾にまで分布することが判明した。(世界の植物)
ヒュウガミヅキというが日向国には自生なし、イヨミヅキの別名をかりに用いるとしても伊予国にも自生はない、牧野博士は日向に於ける自生は疑はしとし、トサミヅキに比して花穂も枝振りも細小なので人によってヒメミヅキといったことかそれが訛ってヒュウガとなったのではなかろうかと述べている。(樹木大図説)

以上、諸説いろいろあるようですが、明快な答えはないようです。

 

 

 

 

 

 

 

アセビ  開花

2020.4.17 石山
我家の近くの個人の庭で見つけました。 アセビってこんなに春先早く花が咲く木でしたか? エゾムラサキツツジがちょうど咲き出した頃すでに満開。 おそらく、札幌で最も春早くに花を咲かせる樹木ではないでしょうか?
写真、アセビの白い花の横に茶色の蕾がついています。 これは冬の寒さで枯死したものでしょう。

2013.6.16 清田区平岡                                  2013.5.8  中央区STV本社前
アセビは比較的開花が早く、5月上旬には咲きますが、1ヵ月以上過ぎた6月下旬に咲く株もあり、この樹木は株によって咲く時期に相当ばらつきがあるようです。
樹木図鑑 “樹に咲く花” では、2月下旬~5月と記載されているので、そのような咲き方をする種のようです。 ちなみに、アセビの自生地は、本州(山形、宮城以南)、四国、九州で、北海道には自生していない。 2010.8.10
8月には種子をつけます。 2010.9.11
そして、9月に入ると、翌年咲かせるための花(花穂)が上がってきます。

<余談:アセビ(馬酔木)の名前の由来と毒性>

アセビという言葉を漢字で書くと「馬酔木」となるのだが、奈良朝前後の時代に中国から渡った馬が大和のアセビを食べたことによって、中毒を起こし酒にでも酔ったかのようにフラフラすることから、このような漢字で書くという説がある。 また、足が痺れる「足廃痺(アシシビ)の音転したものという説もある。

アセビの毒は葉、根、樹皮など株全体にあり、主な中毒症状は、腹痛、嘔吐、下痢、神経麻痺、呼吸麻痺などによって、死に至る。 1979年8月にアメリカのカリフォルニアで羊がアセビの仲間である野生種を食べて中毒死するという事故が起こった。 道に迷った羊たち200頭のうち20頭が大量のよだれを流し、激しい嘔吐と下痢を繰り返したのだ。 そして、2頭が死亡したのである。

アセビによる中毒は、かなり苦痛を味わいながら死に至る。 ただ、アセビの毒グラヤノトキシン(旧名アセポトキシン)は苦みの強い物質であるため、毒を口の中に入れるようなことをすれば、口いっぱいに嫌な苦みがするのが普通である。 そのため、間違って口にすることがあっても喉を通ることは少ないが、毒性が強いことは変わりなく、その取り扱いには十分に注意しなくてはならない。

薬用効果として一部ではケジラミやカイセンの外用薬として利用されている。 また、アセビの持っている毒性を生かして農薬として使われている歴史を持っている。 まだ現在のような農薬のない頃には、葉を10倍量の水が半分以下になるまで煮出し、葉を取り出してから10倍に薄め、冷まして農作物に散布するのである。 また、今のようにトイレが衛生的ではなかったころ、ウジ殺しとしてアセビの枝を刻んだり叩いたりしたものをカメの中に入れて駆除したという。
(毒草大百科抜粋要約)

 

 

タラノキ  冬芽

2015.12.8
冬芽は、2/5のらせん生で、淡い帯赤褐色、淡黄褐色ないし灰色をし、多数ある。 数枚の芽鱗と伏生したとげにつつまれる。 芽鱗は葉柄基部起源で、無毛である。 仮頂芽は大きく、円錐形ないし円錐状卵形で、長さ10~15mmある。
(落葉広葉樹図譜)
2015.12.8
側芽は小さく、長さ3~10mmあり、卵形ないし球形で、下位のものは発達しな
い。

⇒ タラノキ:たらの芽の樹

<余談 民間薬>

5月中旬、樹々の芽が膨らんでくる頃、公園や道端、河川敷などでタラノキを見つけるのですが、必ずと言っていいほど、それらの枝先には新芽がないのです。 近所の人たちが早朝の散歩などで摘みとっていくのでしょう。 おそらく、彼らはその場所を知っていて何時採れるか?いつも確認しながら散歩をしているのでしょう。

タラノキは、“タラノメ”、“タランボウ” の名前で呼ばれることが多く、独特の風味と多少の苦みでテンプラとしていただくのが美味で一般的なようです。 タラノキは山菜の王様と呼ばれていますが、糖尿病などに効く漢方薬としても用いられ、タラコンピ(タラ根皮)として、その名を知られているようです。 タラコンピはタラノキの根を干したもので、刻んだものや粉末のタイプもあるようです。

タラノキはウコギ科で、その仲間には二日酔いに効くエゾウコギ、酢味噌和えにすると最高のウドがあります。 同属のハリギリやコシアブラもテンプラにすると美味しいようで、このウコギ科の植物は、食用・薬用に有用なものが多いようです。

 

 

 

エゾムラサキツツジ  狂い咲き

2019.10.3
我家のご近所さんのエゾムラサキツツジ。 10月初旬に満開。 例年の春と同じくらいきれいに咲いています。 ただし、1個1個の花は小ぶりで、春に咲くものより小さめです。 モクレンの仲間やツツジ類など多くの樹木が夏場に狂い咲きをしますが、通常は2~3輪から数輪で、こんなに花数が多いのは珍しいです。これぐらい花数が多く咲くと狂い咲きとは言えなくなります。 2019.10.3
エゾムラサキツツジの花芽形成は、開花が4月下旬~5月中旬で札幌で開花する花木の中では最も早く咲く部類に属するので、花芽形成(来年花を咲かせるために今年花芽をつくること)もそれ相応に早く、8月には充実度は別にして、ほとんど完成しているのでしょうね。 だから、花は小さめでもこの時期にこんなに花を咲かせることができたのだと思います。
それでは、なぜ、こんなにきれいに狂い咲きしたのでしょうか?

以下の記述は日本植物生理学会「みんなの広場」で花芽の形成の仕組みと狂い咲きについての説明です。

サクラの花芽や葉芽は夏に分化し、秋-冬に向って越冬芽を形成し、成長が停止したまま休眠の状態に入ります。越冬芽は冬の低温で傷害を受けないように芽鱗で堅く守られています。この休眠を誘導するのは多分葉で作られるアブシシン酸(ABA)という植物ホルモンだと思われます。ABAは樹芽や種子の胚などの成長を抑制することが知られています。季節が夏から秋になって日照時間が短くなると、葉はこの変化を冬に向うシグナルとして受容し、葉でABAを多く作り、芽に輸送します。秋〜冬にかけて葉は落ちてしまいますが、気温が低いため芽の成長はありません。しかし、冬の低温を経験する間にABAは減少し、同時に成長を促す植物ホルモンであるジベレリンなどの量が増加して、生長の抑制条件が除去されます。つまり、休眠状態が解除されるのです。そして、春になって気温が上昇しはじめると、越冬芽は成長し始め、開花にいたります。いわゆる狂い咲きは、花芽が分化した後、葉が異常落葉したりしてABAの供給がなくなり、しかもその後高い気温が続いたりすると、休眠状態を経ないで成長し、開花してしまうものと考えられます。

上の記述から、今回のエゾムラサキの狂い咲きは、夏場に形成された花芽が日照時間が短くなる秋口を迎え植物ホルモン(アブシシン酸)により休眠期に入ろうとしていたのが、9月の異常高温(9月は平年に比べ暑かったことと、9月8日:31.3℃、9月9日:32.6℃の異常高温があった)が続いたことが原因で、植物ホルモン(アブシシン酸)の作用する量が少なったのか?、若しくは無かったのか、?それとも、高温の影響で生長を促す植物ホルモン、ジベレリンが作用することで、開花に至ったと考えられます。

<余談>
このエゾムラサキツツジ、今秋樹冠一杯に花を咲かせたので、来春咲くつぼみは残ってないと思うのですが、それでも 来春、花を咲かせることができるのでしょうか?
確認する必要があります。

 

 

 

アロニア  収穫全滅

アロニアの果実は皮が厚めなのでジャムにすると、それと同じ小果樹のブルーベリーに比べ舌にざらつきを感じるというか滑らかさに欠けます。 また、生食すると口の中に広がるえぐみが今一なので、現在は干しアロニアしています。 食べ方は、オートミール  グラノーラに混ぜて食べています(当初、干しアロニアを冷蔵庫に入れて置いたらカビが生えてきたので、現在は冷凍庫に保管)。

そのアロニアを毎年9月上旬に収穫しているのですが、今年は天気も良かったので、9月10日に行いました。 アロニアはナナカマドと同じような実のつけ方をするので、1果房をもぎ取るようにして収穫しています。 それを1週間ほど天日干しするのですが、1昨年は洗浄時に水に浸けるとほとんどの果実は沈んで正常なものであること分かりました。 ところが、昨年は半分くらいが浮いたのです。 果実の中に空洞部分ができていて、虫の排泄物のふんのようなものがありました。 シンクイムシにやられたようです。

⇒ アロニア  シンクイムシ?

そしてそして.、今年はほとんどすべてが水に浮いてしましました。 果実を割るとやはり中は空洞で虫の排泄物の糞のようなものが残っていました。

我家にはプルーンの木が1本あります。 これにも以前からシンクイムシがついていたのですが、4年?くらい前からその被害が酷く、お盆の8月中旬前後から9月上旬にかけて果実がポロポロと落ちていました。 一昨年は樹上に残っているっている果実は数えるほどでした。 果実の中を調べると糞は当然ですが、シンクイムシらしき虫の幼虫を見つけました。

こんなに落ちるのでは堪らないのでパソコン等でいろいろ調べてみると、シンクムシの害を防ぐためには6月中下旬~9月上旬まで10日間隔で農薬(殺虫剤)を散布する必要あることが分かりました。 これで行くと1シーズン10回近くかけることになります。 1本の果樹(プルーン)のために10回も薬をかけるのはやってられないので、袋をかけることにしました。 昨年はこのおかげで、落下は数えるほどでした(しかし、今年は袋ごと落下する果実が出てきている。)

アロニアのシンクイムシの害を防ぐために来年以降どうするか?については、①プルーンに準拠して薬を10回かける、または、②袋をかける、どちらかしかないのです。 どちらもやって出来ないことはないとはいえ、生食でもジャムでも今一のアロニアにそこまでするする価値があるのか?と自分で疑問符をつけてしまうと、アロニアには申し訳なく多少迷いはましたが、思い切って伐採することにしました。 来年は、ハスカップ、キイチゴなど色の黒い果実、ポリフェノール(アントシアニン)を多く含んだ小果樹、そして、シンクイムシの入らない小果樹を植えようと考えています。第一候補はブラックベリーです。